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故郷なき放浪者

閉鎖的な現実世界での生活の窮屈感からの脱出から思いついたものであり

元々は、なろうに近いエロ妄想でAIにぶちこんで

遊んでいたのを自分なりにかみ砕いて、健全な内容で描いてみようと

思い至りました。とはいえ、大部分は切り貼りしたようなテンプレ内容ですので

落としどころをみつけて完結までかければと、考えております。

     【2】


僕が身体的にそして精神的に他者との対面的なコンプレックスを

抱えていなければ、孤独な朝食は避けられただろう

事実、日本語が通じる人物は大勢いる

僕と似たような性質の人だって。

ここにはありとあらゆる可能性が集結しているのだ

その証拠に、カフェテリアの開けたバルコニーからは

簡易的な2本の淡い朱色の手すりだけで隔たれている

吹き抜けの巨大な空間が広がっており、そこを囲うように

住居がひしめき合って大小様々な形の間取りが九龍城を想起させ

隙間なく綺麗に積み重なり、あらゆる人々が各々の方法を使い

階層を行き来している光景がみられる。

浮かぶ通路、空飛ぶ車、テレポート、飛行、浮遊、跳躍、投擲

蜘蛛糸、ワイヤー、羽、ブロック、傘に壺やターザンロープ、スケボーなどなど

視認できるだけでも正直、一日中この光景は見ていられる。

対岸の居住ブロックまでは 300mほどあり、移動用プラットホーム同士が

ガイドビーコンに沿って床ごと切り離され対岸まで運んでくれる

機構なっているが、急ぎの用事が存在しない現状を含めても

使用したのは3回ほどだ。

1回目は初めて、ここに来たときだ

プラットホームが切り離されるタイミングが掴めず、右足を踏み外し

ほぼ開脚に近い状態で、後ろ向きに奈落に落下した。

実に無様な恰好だったことは脳が落下速度の影響でブラックアウトするまで

覚えている。景色が遠くなっていき、水の中でもがきくるしむように

手足をばたつかせたことと、鼓膜を振動させる風の勢いだけが響いていた

気づけば近くの研究ラボに転送させられていた。

あとで判明したのは、僕を救ったのは誰かが持っていた

1999年6月24日にプレイステーション用かつ世界初の

デュアルショック専用ゲームとして無印タイトルの1作目が発売された

【サルゲッチュ】に登場する虫取り網を模した【ピポサル】捕獲の

必需品であるガチャメカである【ゲットアミ】に

偶然、判定を拾われだけのことだったが命拾いはした。

おかげで自分の部屋に戻るのに階段やらエレベーターで1時間くらいかかった。

2回目はもっと酷いことに、施設内の探検に行ったときである

幼少期にエスカレーターにはじめて乗ろうとしたときの感覚に近く

踏み出した右脚と左脚を出すタイミングがズレたことで

移動を開始したプラットホームあわてて、もう一度、戻した右脚を

また乗せようと踏み出した瞬間に右脚だけもっていかれ

前向きにつんのめる形での落下をした。

二回目ということで、「やべっ!」と不意に声が出た

悪運が強いのか、これまた幼少期に祖父の家の二階から落ちた際に

無傷で済んだことがあるためか、どうやら多少の落下補正があるようで

僕が墜落したのは屋形船を模した内装が温泉となった遊覧飛行する商業船

現実的な痛みが背中に走ったものの、頸椎に大した怪我もアザもできておらず

おまけに喜ばしいことに、この屋形船の船頭を務めていた、鉢巻き姿で

お祭りはっぴを着用したのは繋がり眉、葛飾区亀有公園前派出所のおまわりさん

【両津勘吉】巡査長だったことは、痛みをぶっとぶくらいの驚きだった。


「おい!だいじょうぶか!わしの船をこわすなよ!」


「す・・・・すいません・・・」


「近場におろしてやるよ 掴まってな」


「ありがとうございます」

 あ・・・あの・・・こういうことってよくあるんですか・・・」

 

「慣れない奴はたまに落ちてくるが、死んだ奴は、わしはみたことないな」


「あーそうなんすね・・・」


言葉を交わしたのは数秒程度だったが、間違いなく彼は気さくな

面倒見の良いときの両津勘吉、想像通りの聞きなじみの声もしていたうえ

しっかり遊覧船として、乗客から金を徴収していた

プラットホームに送ってもらった際に感謝ついでに名前を呼ぼうともしたが

葛飾でもない土地柄、しかも相手は有名人?という先入観から

会釈だけで済ましてしまった。

にしても遊覧料金2000円は高いとは思う反面、商売根性の逞しさを

学んだ瞬間でもあり、実際に目の当たりにすると

本当に生きるか死ぬかの二択ではなく、悩んだらまずは「生きる」モードに

切り替え、それからどう生きるかを探せばいいスタンスの思考人間で

ここでの生き方を考えさせられた。

3回目はもはや事故に近く、プラットホームに乗り込んだものの

直線移動する等速速度が予想以上に速く、床から後方に態勢を崩すように

半ば吹っ飛ぶようにして身体が床から離れたのだ。

ちょうどその日は、「ケンとチャコ」に逢いに行った日だ

ふたりとも僕が知っている人物その者だった

【ケン】彼はイエスタディ・ワンスモアのリーダーで黒幕で

長身痩躯で、マッシュルームカットと丸眼鏡が特徴の男愛

「汚い金」や「燃えないゴミ」が蔓延する21世紀の日本を憂いており

まだ人々が「心」を持って生きていた20世紀への逆戻りを企て

20世紀博内で「懐かしい匂い」を作り出し、来場した大人達を洗脳した

は格闘や銃撃を行わずに、圧倒的な組織力と豊富な資金

大規模な組織を纏め上げるカリスマ性と統率力といった

理知的な面を用いてしんのすけ達と闘い追い詰めた。

【チャコ】彼女はケンの恋人で共犯者。ケンに共感しており

21世紀を嫌っているが「良い女」と評されるほどの美人。

僕の自室とは違ったフロアの居住区にて同居しており、カフェテリアに

新しく配置されたレトロフューチャーなロボットを見学しにきた際

顔見知りになることが出来た。

時代は令和、見知らぬ元号の時代から来た僕のことが

「未来」を生きることを選択した彼らにとって興味の対象となったようだ


「未来は・・・・どうかね。」


「僕の庶民的な立場からだと・・・・・・うーん・・・」


明確な返答を出せなかった記憶がある。

希望は確かにある、だがそれ以上に世界は絶望に覆われている

日本であの懐かしさの活気に溢れた時代背景を懐かしみ、憧れる風潮にある

昭和ブームの時代回帰の話をすべきか迷った

彼らはおそらく、未来を生きることを少選択した世界から来ている

そんな、残酷なことを僕が言ってしまっていいのか

彼らも僕も時代から切り離された場所にいる。

ここでそんなことを口走ったら、また時代に囚われてしまうかもしれない

僕にふたりの未来に干渉することも、奪う権利もないのだ

コーヒーが冷めていくのを指先で感じながら、カフェテリアで無言の時間が過ぎていく

チャコがあのとき、ケンの趣味部屋を見学にこないかと

言いださなかったらどうなっていたか、想像したくはない。

だが結局はあの日、趣味部屋を見たとき後悔してしまった

彼の中にべっとりとしがみついた栄光の昭和の日々はジオラマの

街として部屋に再現されていたのだ。

近代化されたアイランドキッチンと間接照明に薄型のテレビ

自動湯沸かし器付きの浴槽に掃除用のロボットに

理解しうる最新鋭のテクノロジーが取り揃っている部屋はあくまでも

未来になじもうと努力するチャコ、それに抗うケンの趣味部屋

僕はいたたまれなくなった。

心のどこかでケンはまだ、あの街に囚われているのだ

あれ以来、ふたりとは会っていない

ふたりも僕に干渉してくることもない、ここは意図して出会うことが

なければ顔を合わせることはない。

僕もふたりの世界を壊すつもりも咎めるつもりもない

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