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怪我の功名

閉鎖的な現実世界での生活の窮屈感からの脱出から思いついたものであり

元々は、なろうに近いエロ妄想でAIにぶちこんで

遊んでいたのを自分なりにかみ砕いて、健全な内容で描いてみようと

思い至りました。とはいえ、大部分は切り貼りしたようなテンプレ内容ですので

落としどころをみつけて完結までかければと、考えております。

【4】


院内食で提供されるビスケットを齧りながら僕はようやく現実を受け止めた

食欲がないのは体調もだが精神的にも優れないからである

数日前、運動能力検査という名目の訓練において

脇腹を刺されたからだ

痛みに敏感なおかけで、脳がすぐさま意識をブラックアウトさせたようで

詳しい痛みがどうだったかは覚えはいない。

ポロポロと院内着に落ちるビスケットの食べカスを気にすることなく

僕は無心のままトレーに置かれた 4枚すべてをたいらげた

トレーにはまだ消化に良い緑色のゼリーとおかゆの椀、小鉢には

鶏肉とニンジンとレンコン、椎茸が入った筑前煮がある

傷は完治してても、まだ痛みがあり指先でどうにかトレーを引き寄せ

箸で筑前煮の鶏肉を挟み、口に運ぶ

一口サイズほどしかないうえ味は控えめ、つまり無味。

失望の味、あの日から何を食っても味がしない

こんな夢にまで見た場所に来てまで、他人を失望させるのか

とことん自分が嫌いになる。音声ガイダンスと

自動制御ロボットアームだけの

メディカルスタッフにお世話され、目覚めてから

2日で僕は退院を許可された。

「お大事二 マタキテね!」

パスカルそっくりな球体に筒をくっつけたような見た目の

口紅を引いた受付の機械生命体から手渡された

退院許可証にサインして、僕は自動ドアを通って外に出た。

白い無機質な広場をとぼとぼと、階段をくだりながら

ワシントン記念塔にそっくりな地面から隆起した巨大な

結晶石が視界に見えてくる。

取ってつけたように、ファンタジー世界の遺物が顔を覗かせており

世界の理解度が自分と同じくらいのセンスに感じた

ここを創った連中は、あのクリスタルを何かのモニュメントにしようと

したのだろう。いずれも利用価値が見いだせなく、現在まで

放置されてはいるが、魔力だか魔素があそこから絶え間なく循環

しているためここで魔法が使えるというのが通説にはなっている。


僕は帰宅のためにバスを使うことにした。

ワープパッドジャンクションなら一瞬だが

とにかくいまは無性に無気力に景色に揺られたかった

昭和30年代初頭に走っていたレトロ感あふれる車体がやってきた

閑村同士を繋ぐ、一日一本くらいしかない運行予定がなさそうな

そのバスはくすんだ緑色をしており、ヘッドライトは眩しいほどに

輝きを放っている。


「妖怪バスみたいだな。。。。」


このまま地獄に連れていかれる予感もしたが

疲れているため、気にせず僕は乗車した

後ろから三番目くらいの列に座り、窓から見える

円形に螺旋を描くように中心に向かって広がっていく

摩天楼のビル群を眺めた。

中心のデカいドーナツ状の建造物が居住区

これからあそこに帰っていくわけだが

おそくても2時間はかかるだろう

発車のブザーが鳴り、ドアが閉まる寸前

乗客が一人飛び込んできた

すね毛の生えた素足、真っ赤なダルマのボディに女の人の細くて

長い手がある奇妙な人物だ

「あー!あぶねー!」

声はオッサンだった。

相当、急いでいたからなのか、入り口近くの座席にひょいと腰掛け

バスが動き出すと、後方に僕が居たのを振り向いて確認し

隣の列に座ってきたのだ。

「よぉいいかい。病院が帰りとはお互い健康に気をつけねぇな」

「そうですね。」

「酒飲みすぎてぶっ倒れててな、運ばれたんだ。あんちゃんはどうしたんだい」

「運動能力検査ですっころんだときに・・・・脇腹にぐさーって」

「そいつはまたドジふんだな」

「ええ、大勢の大人の期待を裏切っちゃいました」

「初めて見る顔だ。どっから来た」

「なんて言えばいいんだろううーん・・・故郷が吹っ飛んでなくなって

 しまってそれで流れ着いたという・・・・・・・」

「悪いことをきいちまったな」

「いいんです!全然、気にしてないっすから

 僕よりつらい境遇の人はたくさんいますから

 これくらいどうってことないですよ

 それにここは楽しいことばかりですし、全然、辛くありません」

「顔にはそうは書いてねぇぞ」

「あなたはこれからどこへ?」

「決まってんだろ小屋《ストリップ》見に行くんだ」

「風俗とかじゃなくて?」

「風俗なんていけねーよ おらぁこれでも生活補助もらってんだ

 ストリップだけで満足よ。あんちゃんはわけぇんだから

 風俗とかいかねぇのかい?」

「ノーマッドで収入はゼロなんで、とてもそんなところには

 それに入店しようとしたらIDロックがかかって

 僕はすぐに保安警備に連れ戻される」

「大変な思いしてんだな。」

「必死に日々、頑張ってる人からすれば、これくらい」

「あまり自分を卑下しねぇほうがいいぜ?おっと・・・もうすぐだな

 次の停車駅で降りるんだ。じゃあな、あんちゃん

 俺は【手タレ妖怪】いつかゲゲゲの森に遊びに来な!またな」

彼はそう言って、バスが停車するのを待って、下車していく

名前から推察するに、たぶん現代妖怪の類だろうな

手(だけ)タレントの妖怪、まさか正体がおっさんだったとは・・・・。

彼が下車したのは、バタービール蒸留所前、バス停にはそう刻まれている

風俗街に直接いくには、こうした秘密のジャンクションを経由する

必要があって、大体いろんな場所に隠されている

大抵は誰かが知っていて、教えてもらうのだが、そもそも

公的な機関内でこういったお店に直通のワープジャンクションを

設置できないのは、どこも変わらず抜け道というか、なぁなぁで

済まされているのだろう。


入院から一日もしないうちに僕は再び召集会議とやらに参加するよう

通達が送られてきた。ちょうどそのときは、「ベーコンのケヴィン」で

特製のベーコンポテトサンドを食べていたときだ。

そう文字通り、カリフォルニアだかテキサスの田舎の乾いた大地にあるダイナー

そこで経営されているカリカリベーコンボディの「ケヴィン」が店主の店だ

売り上げが芳しくない日は、売れ残ったサンドを無料でくれる

ノーマッドには感謝すべきジャンキーシェフの一人だ

パティとベーコンとポテトを挟んだこんがり焼かれたトースト

銀紙でくるまれており、電子レンジで温めれば

出来立てと変わりない。

あの検査での事故以来、大勢を失望させたが

代わりに噂を確かめに訪問しにくる者たちが大勢いた

ケヴィンもそのうちの一人、中傷目的だったようだが

僕が想像よりもちび助だったこともあり、同情したそうだ

その哀れみからサンドをくれるようになった

他には、ちっちゃいものクラブからの勧誘もきた

恥ずかしながら断ったが、かなり広い界隈に噂が広まったようだ

面白いことに、キッズトレーニングスクールや週末の運動クラブへの

参加を勧められることが多くなった。

ドジってケガすると、こういうことになると教訓を得た

興味深いことに“イメージインジェクター”記憶抽出だが放出機の

体験会の参加も出来た。

小型化に成功したらしく、自身の体験した記憶からのみだが

物体転送から実体化させることが出来るようになる

リチャーズ博士は僕みたいな科学知識ゼロの人間にもわかりやすく

かなーりかみ砕いて説明してくれた。

きっと原理なんか説明されたってわかりゃしない相手への説明は

さぞ大変だったろう、その努力が伺える証拠に辞書みたいに分厚い

解説証は一枚のルーズリーフにおさまっていた。


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