表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無属性と判定された俺、実は世界の理から外れた【例外】でした。〜攻撃が当たらない上に魔法陣すら掴める俺が、聖騎士を圧倒する  作者: 真波 蓮


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

94/109

第94話 反逆者の隠れ家――世界の裏核


 王都の地下水路を抜け、冷たい夜風が吹き抜ける郊外の廃教会。


 そこが、ディオルがかつて密かに用意していた隠れ家だった。


 張り詰めていた死線の空気が解け、一行は崩れ落ちるように床に座り込む。


「少し、痛みますよ。『ハイヒール』」


 リュシアが両手をかざし、穏やかな光の魔力を展開する。


 回復に特化した彼女の魔法が、ディオルの深い傷や、限界まで魔力を酷使したアルトたちの肉体を優しく包み込み、癒していく。


 堂内に、深い安堵の吐息が漏れた。


 だが、クラウスだけは鋭い視線を緩めず、壁際で静かに佇む光の騎士を睨み据えていた。


「助かったのは事実だが、腑に落ちない。なぜ、完璧な正義を体現するはずの光刃が、国に牙を剥いた」


 クラウスの問いに、ルクスは伏せていた目をゆっくりと開いた。


「私が信じていた正義が、ただの欺瞞だと知ったからだ。お前たちは知っているか。我々騎士団が振るう魔器が、何から作られているかを」


 堂内の空気が、ふっと冷たくなる。


 ルクスは血の滲むような声で、世界の深層を吐き出した。


「魔器の素材は、異能者だ。過負荷で結晶化した使用者もまた、秘密裏に再利用されている。この国は、異能者を資源として消費することで成り立っているんだ」


「……倫理が破綻している」


 クラウスが戦慄したように呟く。だが、彼の分析型の思考が即座に一つの答えを導き出していた。


「だが、だからこそ辻褄が合うのか。毎年学園から卒業生が入るのに、騎士団の総数が増えすぎない理由が」


 学園の実態が、単なる教育機関ではなく、異能者の選別と回収装置であったという事実。


「その通りだ」


 ルクスはさらに深く、国家の闇を暴く。


「国の上層部しか知らない国家機密の鉱山がある。大結晶だ。そこで異能者たちは特殊な魔法陣による儀式で鉱石に変えられ、魔器として成形される」


「なるほどな。俺たち異能者が国に集められ、二度と帰ってこない理由ってわけだ」


 手首をさすりながら、カインが自嘲気味に呟く。


 その言葉に、アルトがギリッと強く拳を握りしめた。


 守れなかった命。理不尽に奪われた者たちが、国の兵器として再利用されているというおぞましい現実。


「ならば、そこを潰す」


 傷の癒えかけたディオルが、低く、だが絶対の意志を込めて言い放つ。


 大結晶を破壊し、囚われた異能者たちを解放する。それが、この理不尽な構造を打ち砕く唯一の手段だった。


「随分と、面倒なことになったな」


 重苦しい沈黙を破ったのは、窓枠に腰掛けて夜空を眺めていたレインだった。


 彼は気怠げに首を鳴らし、振り返る。


「世界を救うとか、正義の味方になるとか、そういう大層な話ならパスだ。俺は使えるものは使うし、面倒事はごめんだ」


 レインはそこで言葉を切り、真っ直ぐに仲間たちを見回した。


「だが。あいつらの勝手な都合で、俺の周りのもんが素材扱いされるのは、どうにも気に食わない」


 理屈ではない。大義でもない。


 ただ、自分の手の届く範囲の人間が、不条理に踏みにじられることだけは絶対に許容しない。


「いいぜ。その大結晶とやらの前提ごと、ただ壊すだけだ」


 レインの不敵な言葉に、ルクスとカインが微かに口角を上げる。


 反逆者たちの次なる標的が、定まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ