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無属性と判定された俺、実は世界の理から外れた【例外】でした。〜攻撃が当たらない上に魔法陣すら掴める俺が、聖騎士を圧倒する  作者: 真波 蓮


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第73話 極光の刃――拒絶の目覚め


 ルクスの手にする長剣の柄で、透明な結晶が禍々しい脈動を始めた。


 直後、刀身から溢れ出した白銀の光が、部屋の天井にまで届く巨大な極光の刃へと変貌を遂げる。


「これが、王国の剣だ」


 ルクスが、その巨大な刃を無造作に横へ振るった。


 刃がカプセルの並ぶ壁面に触れる。爆発も、轟音も起きなかった。ただ、極光に触れた鉄の壁面とガラスのカプセルが、まるで最初からこの世界に存在していなかったかのように、音もなく消滅したのだ。


 切断でも燃焼でもない。絶対的なエネルギーによる、事象の消去。


「冗談だろ」


 ラグが息を呑む。


「防げ! ユーク!」


「やってる!」


 ルクスが極光の刃を上段に構え直す。


 ユークが残る魔力のすべてを振り絞り、考え得る限り最も分厚く強固な多重の岩壁を前方に隆起させた。ラグもまた、その岩壁を覆うように高密度の風の盾を展開する。


 だが、ルクスが静かに刃を振り下ろした瞬間、それらの防御は紙切れ以下の意味しか持たなかった。


 極光の刃が触れた端から、風の盾が消え、分厚い岩壁が虚空へと還っていく。


 回避すら不可能な広範囲と、触れれば終わりという破壊力。絶対的な暴力の前に、全員がなす術なく膝をついた。


「恨むなら、この国の正義を恨め」


 ルクスが、最後の一撃を振り上げる。


 その光景を前にして、レインは一人、無表情のまま立ち尽くしていた。


 だが、彼の内側では、これまで感じたことのないほど泥のように黒く、重たい感情が渦を巻いて膨れ上がっていた。


(人間の命をすり潰して作った剣で、平和を語るのか)


 ミレアを資源と呼び、この施設で若者たちを部品に変え、その血塗られた力で自分たちを消し去ろうとする国家の正義。


(ふざけるな)


 世界を救う大義など知ったことではない。目の前の理不尽が、自分の身内を、自分の居場所を奪おうとしている。ただそれだけの事実が、レインの思考を冷たい怒りで塗り潰していく。


 極光の刃が、レインたちを消し去るべく振り下ろされる。


 その直前。レインは仲間たちを背にかばうように、無防備な姿のまま一歩前へ歩み出た。


「駄目だ、レイン! 君の能力でも、あの質量とエネルギーは逸らしきれない!」


 クラウスが血相を変えて叫ぶ。


 事象の軌道をズラすレインの能力には限界がある。あれほど絶対的なエネルギーの奔流を前にしては、干渉する前にレイン自身が消滅してしまう。


 だが、レインは止まらない。


 極限まで昂った感情が、彼の能力の根源を変質させていた。


(気に入らないものは、全部消えろ)


 干渉ではない。


 目の前に迫る理不尽なエネルギーそのものを、世界から拒絶する。


 ルクスの巨大な極光の刃が、レインの頭上から真っ直ぐに叩きつけられた。


 誰もが、レインの身体が光に飲まれて消滅する光景を覚悟した。


 しかし。


 レインの肉体に触れた極光の刃は、彼を消し去ることはなかった。


 莫大な光のエネルギーは、レインという存在の輪郭に触れた瞬間、まるでそこにあること自体を完全に拒絶されたかのように、行き場を失って停止したのだ。


 光がレインを避けているのではない。レインが、光の存在を許していない。


 彼の背後にいる仲間たちにも、熱一つ届かない。


「……なっ」


 ルクスの端正な顔が、初めて驚愕に歪んだ。


 すべてを消滅させるはずの光の奔流の中に、傷一つなく立ち尽くす男。


 レインはゆっくりと顔を上げ、底知れぬほど暗く冷たい瞳で、王国の最高戦力を見据えた。

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