第42話 対峙――削り切る一線
残ったのは二人。レインとユーク。対するは三人。アルト、水属性の生徒と、風属性。
「まだやれるな」
ユークが前に出る。剣を構える。呼吸は荒い。でも足は止まらない。
「前、任せろ」
「最初からそうだろ」
ユークが踏み込む。水が来る。「『アクアランス』」弾く。風が重なる。「『エアスラッシュ』」身体を捻る。紙一重で外す。
狙いは一つ。アルト。レインが後ろから追う。全体を見る。流れ。位置。そしてアルト。
(……行く)
ユークが間合いに入る。速い。先に届く。剣が振り抜かれる。アルトの肩口へ。直撃コース。
だがアルトが引かない。避けない。踏み込む。雷が、振り下ろされる。
(ぶつける気か)
ユークも止まらない。避ければ終わる。踏み込む。
交差。剣が入る。浅い。でも当たる。同時に雷が叩きつけられる。放出。蓄積が弾ける。
「っ――!」
ユークの身体が大きく弾かれる。結界が反応。外へ。
直後に再詠唱。雷が再び纏われる。アルトのわずかに裂けた肩口。浅い傷。致命には遠い。
(……入れた。でも届いてない)
水と風が動く。レインは避ける。だが視線は外さない。アルト一点。
(さっきと違う。軽い。明らかに一段。重さが落ちている。さっきの一撃で放出した直後だから)
(変動している。溜める。当てる。そして落ちる)
アルトが踏み込む。レインは動く。避ける。その瞬間、また重くなる。
(やっぱりだ。確信に近づく。でもまだ足りない)
水が迫る。風が来る。それをかわしながら、ただ一つを見る。アルト。踏み込み。振り。その全て。
(……ある。どこかに。ずっとじゃない。落ちる瞬間がある)
レインはゆっくりと息を吐く。構えがわずかに変わる。避けるだけではない。見る。待つ。そして。
狙う。
残るは、レイン一人。




