第33話 連携――揃わない四人
放課後の実技場は、昼間より少しだけ静かだった。
レインは中央から少し外れた位置で立ち止まる。少し遅れてユークとラグが来た。
「待たせたか?」「いや」
ユークは軽く肩を回しながら周囲を見る。
「思ったより人いるな。みんなやる気だな」
数秒後、足音が近づく。クラウスがそのまま歩いてきた。
「揃ったな。時間は多くない。最低限だけ確認する」
視線が三人を順に捉える。
「前衛はユーク」「ああ。問題ない」
「補助と感知はラグ」「任せろ」
最後にレインへ。わずかに間が空く。
「お前は。どう動く」
「……合わせる」
「合わせる、では定義にならない。位置か、役割か、タイミングか。どれに合わせる」
「その時次第だな」
クラウスは数秒黙る。そして小さく息を吐いた。
「……不確定要素が大きすぎる」
「いいだろ」
ユークが割って入る。
「合わせるって言ってんだ。前出てる俺に合わせてくれりゃそれでいい」
「固定しすぎると逆に詰まる」
ラグも頷く。クラウスは一度だけ目を閉じた。整理している。
「……最低限、試す」
地面に小さな人工魔法陣を展開する。
「これを基準にする」
ユークが前に出る。魔法陣が淡く光る。ユークの動きがわずかに速くなる。ラグが視線を動かす。
「レイン」
クラウスの声。レインは一歩踏み出す。ユークの軌道に入る。
わずかにずれる。タイミングが噛み合わない。ユークの一撃が振り抜かれる。レインは半拍遅れた。ラインが崩れる。
「……ずれるな」
何度か繰り返す。早すぎても遅すぎても、どれも成立しない。
「……以上だ。結論。現時点で連携は成立しない」
ユークが肩をすくめる。「まあそんなもんだろ」
「……強いのは分かる。だが、計算に入らない」
「そうか」
レインは否定しない。気にしてもいない。
「じゃあそのままでいいだろ」
ユークの結論は早い。
「合わせられるやつが合わせればいい。無理に合わせなくても勝てりゃ問題ない」
クラウスは目を閉じる。数秒。
「……了解した」
納得ではない。でも受け入れる。
「では、この構成でいく」
それで決まった。
完全ではないチーム。噛み合わないままの連携。でも、形にはなっている。
大会前の熱が少しずつ上がっていた。




