表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

55/71

第54話 未成年の主張!心の底から本音をいってしまった!

良い子の皆さんはとっくに夢の中でぐっすりしてる筈の時間

生憎この空間には、良い子が一人もいませんでしたとさ。


未成年なのに、深い恋バナという宝を求める

トレジャーハンターしかいない。



「ついにきた! 恋バナ本番だ!」


「ふふふ〜……それじゃ、まずはレイ! 最近どうなの!? 修学旅行以来!」


「ええっ!? わ、私から!? ……あ……えと……」


「なはは! 隠さなくていいぞレイ! そろそろ、いくとこまでいったんじゃないのか……??」



(え……いくとこ……まで……? それって、つまり……)



「あ……実は……まぁ……うん……」


白石さんは、顔を真っ赤にして……小さく、コクリと頷いた。


「「ええええええええーー!!! まじか!!!」」


桐谷さんと真桜さんの絶叫が、ラブホの部屋に響き渡る。


「そんな珍しいもんじゃないと思うよ。私も高1の時、付き合って2ヶ月くらいだったし。まぁ、真面目な白石さんは意外ね」


(ええええ!? 白石さん……が……??

えっと、修学旅行が10月の半ばで……今は11月末……。

ええ……付き合ってから早く……ないか!?)


ううう……。

分かってはいた。いつかそうなるって。

でも、いざ現実として突きつけられると……少し、いやかなり辛い…


「だ……だって! 奏くんの家、練習用の別荘があるの!

そこでお泊まりしてたら……もう……自然と、そう、なるじゃない……!」


「ついにレイも、大人の階段登ったな!」


「くーくんもレイも草食系っぽいのにね! やる時はやるんだ!

そんで……そんで……! どうだった!?」



「う、うーん……初めては……ちょっと痛かった、かな……?

でも、奏くんすごく丁寧にしてくれたから……

それからは、別日は……まぁ……なかなか……」


「おおおお! あのレイからそんな生々しい話が聞けるとはな!」


「清楚の白石さんも、恋するいち女子ってことね」


「うぅ……なんか恥ずかしくなってきた……

だって……奏くん……2人っきりだと……あんなに……情熱的で……」



久我さん!ぜ…絶対に白石さんを幸せにしておくれ!!お願いします!!


「天音はどうなんだ?? 最近、新しい彼氏できたか??」


桐谷さんが、今度は神崎さんに矛先を向ける。


「いや、今は彼氏とかはいいかな。特に気になる人いないし」


「ふふ〜、あまねっち。意地張らなくてもいいんだよ〜? 寂しかったら………」


「!?! わ、私の話は終わり!! 光はどうなの、順調なわけ!?」


「ん? 私か? まぁ、剛とは相変わらず順調だぞ? なはは!」


これ、高校生の会話だよな!?色っぽすぎる…!

俺…?

俺はいつものように完全に息を潜め、変わらず観葉植物と化していた。

前まで一緒に植物仲間でいてくれた白石さんは、いつの間にか「大人の女」へと進化してしまった……


飛び交う、エグいレベルの恋バナ。

い、いやぁ……女子の世界って凄い。


盛り上がりが半端ない、容赦がない。



そして……俺は、分かっている。


みんなが、ここまでわざと俺に話題を振らなかった理由を


流石にもう、予測できる。


「それじゃ〜……最後……ゆかっち!」


「なはは! 本日の企画者のメインディッシュだ!」


「裕香さん……今回は遠慮しなくていいのよ? なんでも聞くから」


「そう、思い切っていってごらん?」


「え……ええと……はい……」


全員の視線が、一斉に俺に突き刺さる。


ま、まぁ、最初は俺が真桜さんに「翔のことで悩んでる」って相談した事から始まったお泊まり会な訳だし……

避けては通れない道だ。


しかし、真桜さんや桐谷さんの圧に加え……白石さんと神崎さんまで、圧をかけてきている。 


ついさっき、お風呂でバチバチにやり合っていた二人まで、今は完璧に連携しているじゃないか…


ひとまず俺は、ここ最近のことを全部話した

翔のことが気になって仕方ないこと

ちょっとしたことで落ち込んでしまうこと

そしてこの気持ちを、どうすればいいのかわからないこと。


全部。


「改めて聞くと恋だよね〜」


真桜さんが、にこにこしながら頷く。


「なるほどなぁ〜。それは青春だな!」


桐谷さんも腕を組んで、うんうんと大きく頷いた。


「わかるわぁ……。私も奏くんにそうだったし……」


白石さんが少し遠い目で呟く。


「最初はみんなそんなもんよ」


神崎さんも穏やかに微笑んでいた。


……皆、優しい。

こんなふうに共感してもらえるだけで、胸の奥に溜まっていたものが少し軽くなる。


共感って……大事なんだな。


「わ、私……ここからどうすればいいのかな……」


「その恋は、もう本気なのかな?」


真桜さんが、静かにそう言った。


「……え?」


「一度、自分を見つめ直してみて」


「いけるとか、いけないとかじゃなくて…

もう、自分に嘘がつけないのかどうか」


本気の恋

自分の気持ち。 


——そうだ

修学旅行の頃から、なんとなく気づいていた。


翔と話すと、胸が少しだけドキドキすること

調子がいい時だけ、つい目で追ってしまうこと


でも——

「俺は元男だから」とか

「翔はハイスペックすぎる」とか

結局、言い訳を見つけては逃げていた

そして、そのたびに自己嫌悪。


……でも

ここでまたグダグダしていたら、

こんなに真剣に聞いてくれている皆に申し訳ない。


そろそろ…決めよう。 


「……き……」


「ん?」


真桜さんが首を傾げる。


喉が震える。

声も、震える。

それでも俺は、勇気を振り絞って言った。


「……ほ、本気……」


言ってしまった、自分の気持ちを。


その瞬間——


「よーし!言質とったり!!ラブホ女子会開いてよかった!」


「おおー!!ゆかっち偉いぞ!!」


「尊い!!尊すぎる!!……うう……裕香さん……!!


「ええ……直視できない……!」



うっ…なんかすごい盛り上がってる。


言ってしまった。

言ってしまったぞ……俺……!!


しかも——

白石さんと神崎さん、キャラ崩壊してるんだけど……!?


「よーし……!それで、ゆかっちはどうしたいの?」


「へ……どうって……?」



「なはは!友達のままでいいのか、それとも付き合いたいのか……ってこと!」


「~~~っ……!!」 


一瞬で顔が熱くなる。

心臓が、うるさいくらい鳴り響いた。


でも――


もう、逃げたくない…


「つ……付き合いたい!!」


「「「「!?!?」」」」


部屋の空気が、一瞬で弾けた。


「た、たとえ不釣り合いでも……!

もう……嘘つけないし……!」


喉が震える。

声も情けないくらい震えている。

それでも、言葉は止まらなかった。


「つ、付き合い……たい……!」



多分人生で一番勇気を使ったと思う

楽になりたかった、というのもある。 


でもそれだけじゃない。

胸の奥に溜まっていたものが、溢れてきて。

気づけば、もう無我夢中だった。


「よっしゃぁぁ!!」


「ゆかっち偉いぞーー!!」


女子会は一気に大盛り上がり

そこからは、完全に恋愛尋問タイムだった。


いつから好きなのか

どこが好きなのか

どんな瞬間にドキッとするのか

まるで、本当に女子がするような恋バナ


辻褄合わせは正直かなり大変だったけど、

そこは真桜さんがさりげなくフォローしてくれて、なんとか乗り切ることができた。


ーーーー


気づけば、深夜

時計は3時を回っていた

さすがに体力の限界だったのか、

女子会の熱気もようやく落ち着き、皆眠りにつく。


ベッドには、俺と真桜さんと桐谷さん。


ソファーにはそれぞれ、白石さんと神崎さん。


静まり返った部屋

さっきまでの騒ぎが嘘みたいだ。


「………………楽しかったな、女子会」


小さく、呟く。

あれほど悩んでいたのに。

不眠になるくらい、モヤモヤしていたのに。


めちゃくちゃ恥ずかしいことを言ったはずなのに

胸の奥が、驚くほどスッキリしていた。


「翔……もしかしたら……引かれるかもしれないけど……」


「いつか 近い内に……俺の気持ち、伝えるよ」


そう呟いた瞬間――


あ、やべ……

ってなった。


た、多分この流れ……



「ふふふ〜……聞こえた〜」


「……!」


やはり…!!

後から、楽しそうな声

真桜さんが、にやにや笑っていた。


「え、あ、あぁ……えっと……これは……」


「しーっヒカ起きちゃうから、静かにね」


結局、二人でこそこそ話す羽目になった。


「もうさ、気持ち固まったんだし誤魔化さなくていいよ

ゆかっちの本気、ちゃんと聞けてよかった」


「う……うぅ……」


今になって急に恥ずかしくなってきた。


「ねぇ。私が前に言ったこと覚えてる?恋について」


「前に……?」


えーっと……。

あ、思い出した。


「一度“本気の恋”をしたらさ

ここから先は、楽しいだけじゃない。

悩むことも、不安になることも、いっぱい増える……だっけ?」


「そうそう!……理解したかな?」


「はい……身をもって理解しました……」


「なら大丈夫!」


「心配しなくても、私たちがついてるから」


「は、はい……!」


――その時。


その時だった。


ピコンッ! 


スマホの通知音。


「ん……?メッセージ……?な、なにぃ!?」


こんな時間に?

しかも――このタイミングで?


な、なんで……!?

こんな展開、漫画でも――

ないぞ……!?


震える指で画面を開く。

そこに表示されていたのは。


【裕香、12月の初めの土曜日、空いてるか?】



隣から、くすくす笑う声。

「ふふふ〜タイミング、良すぎ!」


同時刻――

神宮寺家 別荘。


ソファに腰掛けた翔は、スマホを握ったまま、しばらく画面を見つめていた。



「……送った」


「翔……送ったんだな?」


向かいに座る剛が、半ば確認するように聞く。


「ああ……送った」



「ついに……だね」


久我が、どこか感慨深そうに呟く。


偶然なのか

この夜、男子会も開かれていた。



「はっ!メッセージ一つ送るのに、こんなに手こずるとはな!」


「神宮寺くんの“貴重な一通”だもの。スケールが違うさ」


「いやいや、お前ら……たかがメッセージ一つだぞ?

返事なんて多分――明日……」



その時だった。


ピコンッ。


「はぁ!?」



慌てて画面を確認する翔。

そこに表示されていたのは――


【うん、空いてる。こっちも誘おうと思ってた】


「……まじか……?起きてたのか……??」


「こりゃ……」


「来たね……」


翔はスマホを見つめたまま、ゆっくり息を吐いた。


「ああ……この日――」


「俺は、想いを伝える」


男子会の空気が、一斉にざわめいた。


二人の物語は、

いよいよ終盤へと向かっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ