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第20話:真の仲間への歩み~サネくんの同伴を拒否させられる~②


 【第10話】の反転、ということはヒスイ&セーラ視点。続き。


 圧倒的だった。蹂躙していた。サネヤも手に怪我をしたけど、それ以外は本当に圧倒。まさに殲滅だ。あたしが手を出す暇なんてなかった。


 遠目に見ても分かるくらい魔物はぐちゃぐちゃになっていた。


「…………なに、あれ。すごすぎない?」


 サネヤがまともに戦っているところを初めて見た。あんなに戦えるなんて。なんで今まで黙ってたの?


 あのスキルがあれば、戦闘に役立つどころじゃない。


 ただ、戦闘中のサネヤは、何かに抗っているように見えた。戦闘中にも顔をゆがめながら、声にならない声を漏らしていたし。


「………………もしかして」


 スキルの制御が出来てない?


 スキルは基本的に使い方が感覚で分かるものが多い。というか、習得するためには基本的に反復練習が必要なので、スキルを習得するころには使い方が分かっているのが普通だ。


 だけど、固有スキルは話が別。普通は生まれたころから何となく使えるものだが、中には扱うのが難しいスキルもある。そして、そういうスキルに限って珍しいので、誰かに教わることも出来ない。


 でも、サネヤの固有スキルはスキル【収納】だ………………いや、よく考えると、サネヤの口から直接聞いた覚えはない。スキル【収納】は後天的に習得するのがほとんど不可能だと言われているから、勝手に固有スキルだと思っていた。


 あたしが色々考えてる間、サネヤは魔物の死体の横に立ったまま固まっていた。地面の一点を見つめ、おもむろに地面にしゃがみ込む。



「くそっ! これじゃだめなんだ! これじゃセーラたちが…………」



 そういったサネヤの声は、今までで一番悲しそうで、辛そうで。聞いているこっちまで苦しくなった。あそこは………………サネヤが戦う前に何かを置いていたあたりだ。


 すぐに慰めに行きたい衝動に駆られたけど、絶対知られたくないはずだ。わざわざこんなところに来てまで使ったスキルなんだし。


 でも、今のサネヤは放っておけない。こう、どうにか偶然を装ってうまいこと声をかけよう。あたしなら出来るはずだ。


 だが、あたしが行動を起こすよりも前に、サネヤが立ち上がった。



「まぁ、これなら大丈夫だな!」



 そういったサネヤの声は、暗かったけどいつも通りだった。けど、直前の様子を見ていたあたしには明らかに強がりだと分かった。


 サネヤのあまりの変わりように驚いて、体のバランスが崩れる。隠れていた茂みが、ガサっと大きな音を立てる。


 やばっ!


「………………っ」


 どうしよう、何て説明しよう。考えが全くまとまらない。とにかく、なんとかして誤魔化さないと、と思っていたのに。サネヤはこっちに来なかった。


 …………あたしに、気付かなかった?


 あたしは、隠れるための魔法を解いていない。けど、サネヤはスキル【索敵】を意識して使ったはずだ。それなのに、バレなかった。


 やっぱり本調子じゃない。普段のサネヤなら絶対にあたしに気付いたはずだ。



 あたしは、サネヤが十分に離れたことを確認してから、サネヤがいた所に近づいた。



 サネヤが見ていたところには、砕けて粉々になった魔石が落ちていた。


 色は、黄色と緑色。



 そして、藍色。



「………………この色の組み合わせって」


 砕けた魔石が何を示しているのか。あたしの想像通りなら………………。






 ※※※※※






 サネヤを追い越して、街に帰る。


 サネヤはどこかおぼつかない足取りで、バレないように追い抜くのは簡単だった。あの状態のサネヤを一人にするのは心配だが、ただの魔物ならサネヤの【索敵】で問題なく気付けるはずだ。


 街に戻ると、大通りにいるヒスイをすぐに見つけることができた。


 サネヤにどう接するべきかはまだ分からない。けど、サネヤが怪我をしてることだけは確かだ。


「あっ、セーラ! 荷物運ぶの手伝ってよ。てか、サネくんは?」


 荷物をたくさん抱えて大変そうだが、今は気にしてる余裕はない。


「今すぐ、門にサネヤを迎えに行って!」


「サネくんを迎えに? なんで?」


「良いから! 早く行って治療して!」


「えっ、サネくん、怪我したの? なんで一人にしたのさ、危ないじゃん!」


「説明は後! サネヤに何か聞くのもダメ! 今、明らかに暗いけど普段通り接して。うまいこと言って傷だけ治してきて!」


「……よく分かんないけど、分かった。あとで、ちゃんと話してよ」






 ※※※※※






 セーラはすごい勢いでまくし立てた後、すぐどこかへ行ってしまった。自分がサネヤに会うつもりはないようだ。何であんな焦ってたんだろう。


 門のところに行くと、ちょうどサネくんが帰ってくるところだった。


 なるほど、セーラの言ったとおりだ。明らかに暗い顔をしている。まぁ、サネくんはいつも大体暗いけど、それでもいつもより暗いのが分かる。手に怪我してるし。


 すごく聞きたいが、セーラにも止められてるし、とりあえず怪我だけ治してしまおう。


「ちょっと! その傷どうしたの? 休んでって言ったのに、何してたの?」


 私のいつも通りってこんな感じかな?


 そう声をかけると、サネくんはすごく驚いた顔してこっちを見た。気付いてなかったんだ。


「っと、ヒスイか。…………えっと、なに?」


 その後、普段通りを意識しながら、気もそぞろなサネくんの怪我を治した。


 普段通りを演じるのって難しいな。しかも、セーラに色々聞くのは止められてるし。変に意識しすぎて、私、嫌な女になってない?


 まぁ、凹んだサネくんのフォローはセーラに任せよう。…………セーラに出来るかなぁ? 朝より凹んでるし、怪我までしている。慰めてくれたわけではなさそうだ。


 てか、これがセーラが慰めた結果なら、私は親友としてセーラとしっかり話し合う必要がありそうだ。


「……大丈夫かなぁ、サネくん」


 セーラでダメそうだったら、私がサネくんを励まさなければ。でも、買い出し以外で、サネくんと私が2人で出かけたら、たぶんセーラが拗ねるんだよねぇ。


 ………………それは、それで面白いか。

 励ましもかねて、今度こっそりサネくんと甘い物でも食べに行こっと。

 よければ【第10話】もぜひ。


 本当はヒスイの話の予定だったのに、いつの間にか半分以上セーラに乗っ取られたうえに①と②に分けるくらい長くなったのは内緒。ヒスイ、がんば。


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