↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/34

第19話:真の仲間への歩み~サネくんの同伴を拒否させられる~①

 【第10話】の反転、ということでヒスイ&セーラ視点。


 イガチレスの何個か前に寄った街、エマコゴ。

 

 そこの宿屋で、あたしはヒスイに相談していた。


「サネくんの様子がおかしい?」


「そう。なんか思いつめた顔してるのよ」


「…………それいつものことじゃない? サネくん、すぐ凹むじゃん」


 その通りだ。サネヤは、割と定期的に凹んでいる。


 もっと安い店があったとか、もっと早く敵を見つけなくちゃならなかったとか。些細なことですぐ凹むし思い詰めるのだ。その度に、あたしなりに励ましているけど、効果のほどは分からない。


 でも、最近のサネヤの凹み方は少し違う。


「いつもより真剣に思い詰めてる感じなの」


「そうなの? さっすが、セーラ。サネくんのこと、よく見てるね?」


「そ、そんなことないわよ!」


 あたしは、仲間想いなだけでサネヤのことばかり見ているわけでは断じてない。コガネの変化だって分かる………………はずだ。


 その後、ヒスイと話して「とりあえず、しばらく様子を見よう」ということになった。というか、ヒスイがサネヤの変化に懐疑的だったのだ。


 あたしは、絶対サネヤの様子がおかしいと思うんだけど。あんまり強く主張して、「やっぱりサネくんのことばっか気にしてるじゃん」とか言われるのは不本意なので、今日のところは仕方ない。






 ※※※※※






 セーラが話しかけてきたのは、イガチレスの宿屋で買い出しに行く準備をしているときだった。


「今日、サネヤと買い出しに行くのよね?」


「その予定だけど。なに、私とサネくんが2人っきりで出かけるのが嫌なの?」


「そ、そんなんじゃないわよ!」


 真っ赤になって否定しているが、セーラは鏡を見たほうが良い。完璧に恋する乙女のそれだ。分かりやすすぎる。サネくんが気付かないのが不思議なくらいだ。


「全然そんなんじゃないけど! とりあえず、一緒に行くのは断って」


「やっとデートに誘うの?」


「だから違うっつってんでしょ」


 だから、顔真っ赤だよ?


「じゃあ、何でよ。サネくんがいてくれた方が助かるんだけど」


 サネくんは荷物は持ってくれるし、交渉とかもしてくれる。そして、使いすぎなぐらい気を遣ってくれるのだ。チョロいセーラが好きになってしまうのも仕方ないというもの。


「それは分かってるけど、サネヤに自由行動させたいの。前言ったじゃない。なんか様子がおかしいって」


 たしかに言ってた。私は、そんなことないと思ったんだけど。セーラによる入念な『サネくん観察』により、サネくんが一人で行動した後の様子がおかしいということになっていた。


「それを確かめるってことね」


「そう。1人で何してるのか、確かめようと思って」


「……もしかして、女の子に会いに行ってたりして――ってごめんごめん。冗談だよ。そんな世界の終わりみたいな顔しないで!」


「……べ、別にそんな顔してない!」


 してるじゃん。今までにないくらい凹んだ顔したじゃん。サネくんのこと好きすぎだろ。


 まぁ心配しなくても、サネくんに限ってそんなことないと思うけど。私たち以外の女の子と喋ってるの見たことないし。なんなら、店員さん以外でサネくんが同年代の子と喋ってるのを見たことがない。


 だから、セーラは安心してサネくんにアプローチすれば良いと思うんだけどなぁ。早く素直に気持ちを認めればいいのに。


 素直にさせるために、もう少しだけからかっておこう。親友想いの私、優しい!


「じゃあ、なんで一昨日、セーラが買い出し行くときに断らなかったの?」


 わざわざ私の買い出しを邪魔しなくても良いんじゃないかな?


「そ、それは……べ、別にいいでしょ! 一昨日は思いつかなかったの!」


 そうだね、自分はデートしたかったんだよね!


 ほんと、鏡見ればいいのに。さっきからずっと顔真っ赤だよ? というか、サネくんの話をしてる時のセーラは大体顔が赤い。分かりやすすぎ。


 まぁ、今日は散々からかったから勘弁してあげよう。そろそろ本気でキレかねないし。




「ごめん、サネくん。今日は、私一人で行くから休んでていいよ」


 

 セーラとのやり取りがあったので、私はサネくんにやんわりと告げたのだ。本当なら普通に付いてきて欲しい。



「…………わ、分かった」


 すっごい凹んでる気がするんだけど。私の気のせい?


 ちゃんと、本当はサネくんがいてくれた方がうれしいんだけどみたいな言い方したのに。サネくん、卑屈だからなぁ。


 まぁ、セーラがどうにかするか。落ち込んでるときには付け込みやすいって言うし。 ……サネくんにはいつでもアプローチし放題なのでは? セーラがんば☆






 ※※※※※






「――くしゅんッ」


 やば! バレちゃう。

 とっさに身をかがめる。


「………………」


 どうやら気付いた様子はなさそうだ。あぶない、あぶない。


 今、あたしはサネヤの後をつけている。とても慎重に。


 サネヤの【索敵】の精度は尋常じゃない。しかも、他にも聴覚や嗅覚を強化するスキルも常時発動しているから、えげつない精度で敵を見つける。


 隠蔽に隠密、認識阻害など、いくつも魔法を重ね掛けしたうえで見失うかどうかギリギリまで距離を開けることで、やっと誤魔化すことが出来ている。


 ただ、今は、サネヤにあたしを探す気がないから見つかっていないだけだ。昨日の【索敵】かくれんぼでは、普通に見つかってしまった。


あたしは普段からサネヤの【索敵】を欺く練習をしている。あたしは負けず嫌いなのだ。


 決して、街で見かけた女の子が男の子に後ろから近づいて「だーれだっ?」ってやってるのを見て、やってみたくなったわけではない。


 ちなみに、この間初めて気づかれずに後ろから近づけたとき「だーれだ?」と声をかけたら、サネヤは死ぬほど驚いていた。というか、腰を抜かしかけた。


 よほど、自分の【索敵】スキルに自信があったのだろう。嬉しくて、つい偉そうな態度をとったら、サネヤは目に見えて分かるくらい凹んでしまった。


 なんとかフォローしたつもりだけど、あたしは口下手だからうまく励ませてないかもしれない。


 さておき。


 あたしは、今のところサネヤの尾行に成功している。


 サネヤがいかがわしいお店がいっぱいある通りに入った時も、ちゃんと我慢した。隠れているのを忘れて魔法をぶっ放しそうになったけど。


 …………まぁ、サネヤがそういうお店に行ってもあたしには関係ないけど! あたしには関係ないけど、パーティの風紀の乱れは気にしておいて損はないはずだ。


 だが、そういうお店に入るつもりはなかったみたいで、どんどん街の外に向かっていく。まさか、一人で街の外に出る気なの?






 ※※※※※






 何故か裏門から街を出たサネヤの後をバレないようにつけて、あたしは森まで来ていた。


「…………疲れた。しんどい」


 【索敵】から身を潜めながら動くのすっごい疲れる。ずっと神経張り詰めたままだし。


 てか、どこまで行く気なのよ。サネヤは森のかなり奥まで入ってきている。奥に行けば行くほど、強い魔物が出てくる可能性が高いので、少し心配だ。


 まぁサネヤの【索敵】なら大丈夫なんだろうけど。サネヤの【索敵】をかいくぐれる魔物なんて滅多にいないし。



 ――なんて思っていたのに、魔物に遭遇した! 



 どうなってんのよ!


 あの魔物って討伐依頼出てたやつじゃん。危ないわりに報酬が少なかったからやめようってなったやつだ。あのレベルの魔物にサネヤが気付かないはずがない。まさか【索敵】してないの?


 助けにいくべきか迷っている間に、サネヤが懐から何かを取り出し地面に置いた。


 そして――



「……スキル【殲滅】、起動」



 聞いたことのないスキルを起動した。


 その時の、サネヤの声は、今まで聞いたことがないような底冷えする響きだった。……でも、どこか悲しげで消えそうな声。

 お読みいただきありがとうございます。


 それと、ブックマーク、評価、いいね、してくださった方々、本当にありがとうございます。うれしいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。