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第18話:真の仲間への歩み~サネと裸の付き合い~


 【第09話】の反転、というわけでコガネ視点。


 俺、コガネにとって良い風呂屋の条件、それはお湯が熱いこと。


 大きくて質のいい魔石を使えば、それだけお湯は熱く素晴らしいものになる。だから、良い風呂屋を見つけるためには、魔石を見ればいい。たいていの店には、○○産の魔石を使用! とかでかでかと書いてある。


 ただ、魔石だけで判断してはいけない。店の外観、店主の面構え、立地、評判、その他諸々を全て調べることで、本当に良い風呂屋を見つけることが出来るのだ!


 ちなみに、俺にとって悪い風呂屋は存在しない。風呂屋である時点で、良いか、すごく良いか、素晴らしいの三択だ。質の悪いくそみてぇな魔石を使っている店を、俺は風呂屋とは認めない。


 さておき。


 俺たちのパーティ『青嵐』には、非常に厳しいルールがある。それは、同じ街にいる間に、風呂屋に行くのは最大5回、というもの。


 鬼のようなルールだが、パーティのためには我慢するしかない。そして、その5回をパーティメンバーに存分に味わってもらうために、俺は全力でリサーチをしている。



 色々うだうだと言ったが、つまり何が言いたいかと言うと!



「風呂だ! 風呂に行くぞ!」



 早朝。イガチレスの宿屋の一室。

 サネしか聞いていない中、俺は高らかに宣言した。


 ………………まぁ、風呂屋に行くのは午後からなんだけど。






 ※※※※※






 風呂に行くためには、適度な疲労がある方が望ましい。俺の持論だ。


 だから、俺はイガチレスの街の一角で、サネに見つからないように息を潜めていた。



 【索敵】かくれんぼ。


 これは、サネヤが強く推奨したことで始まった遊びだ。いつの間にか、風呂屋に行く前にやるのが習慣になっていた。ルールは簡単で、スキル【索敵】を使うサネヤから俺たちが全力で隠れるだけ。


 サネはスキル【索敵】の練習に、俺たちは魔力を絞って身を潜める練習になる。


 魔力を絞ることで敵に見つかりにくくなるので、戦闘時にも役に立つ。そして、かなりの集中が必要なので、適度に疲れる。まさに、完璧な遊びだ。


 この遊びをサネがやけに強く推奨しているのは、迷子のセーラを見つける練習のためじゃね? と、俺は思っている。


 だが、厄介なことにこの遊びが一番強いのはセーラだ。


 始めのころはセーラが一番弱かった。そして、セーラは悔しがりながらも、自分が一番に見つけてもらえて嬉しそうにしていた。

 

 けど、途中からセーラが本気になり、魔法まで使って全力で隠れるようになった。さすがセーラ。負けず嫌いの鑑だ。


 それでも俺たちが勝ったことはない。サネのスキル【索敵】は優秀なのだ。


 ただ、イガチレスの街には人が多い。今回ばかりは、俺たちが勝てると思ったのだが。


「はい、コガネ見っけ」


「…………くっそ。マジかよ」


 あっさりと見つかってしまった。ヒスイはすでに見つかっていたようで、サネの横で地味に悔しそうな顔をしている。セーラほどではないが、ヒスイも負けず嫌いなのだ。


 サネに全員見つからなかったら、サネのおごりでもう1回風呂に行けるのだ。がんばれ、セーラ!






 ※※※※※






 サネが先に帰った後、俺は熱い方の湯に移っていた。


「…………だぁ。今日も完敗かぁ」


 セーラも結構粘ったが、最終的に見つかってしまった。この間、サネのスキル【索敵】を出し抜いたと大騒ぎしていたけど、油断していないサネを出し抜くことはまだ難しかったようだ。


 まぁ、それだけサネのスキル【索敵】が優秀だという証拠だ。


 だというのに、サネはどうにも自信がない。戦闘に役に立てないことをいつも嘆いている。そんなことはない、と何度も言っているのだが、聞く耳を持たない。


 サネは根が卑屈なのだ。

 そのうち自信をつけるかと思ったが、半年たっても未だにその様子はない。


 俺とヒスイから見れば、セーラがサネの事を大好きなのはバレバレなんだが。そのことにサネ自身が気づいている様子はない。


 それどころか、セーラが照れ隠しで文句ばかり言っているのを真に受けている節がある。


 セーラの本当の気持ちを知れば、サネも少しは自信がつくと思うんだけどなぁ。

 

「………………言えねぇよなぁ」


 勝手に伝えた日には俺がセーラに殺されてしまう。


 この間だって、サネのことでセーラをからかったらすげぇ剣幕で怒ってたし。


「完璧に勘違いだけどッ! もしサネヤに聞こえたらどうすんのよ!」


 と怒鳴っていたが、セーラの声の方が確実に大きかった。サネに聞こえるんじゃないかと、俺たちの方が冷や冷やしたくらいだ。


「…………まぁ、サネが気づくのも時間の問題だな」



 裸の付き合いが増えれば増えるほど仲良くなる。これも、俺の持論だ。


 今日も短い時間だったけど、一緒に風呂に入ったのだから、俺とサネの仲は深まったはずだ。まだまだ、一緒に風呂に入る機会はある。このまま順調に行こう。


「…………待てよ」


 てことは、サネとセーラが一緒に風呂に入れる混浴に連れていったら、2人の仲が進展するのか?


 ………………うん、たぶん提案した瞬間、セーラに殺されるな。


「おお、こわっ」


 想像しただけで肝が冷え、鳥肌が立った。体の芯から温めなおすために俺は、もう一度湯船に体を沈めるのだった。

 【第09話】も良ければぜひ。



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