『碧の章』第14話:カンナリオについての報告
・カンナリオ(以下、(甲)とする)の魔法、その特異性についての報告(一部抜粋)。
今回の検査にあたり、回収した各種データについては、厳重の管理のもと第3種特殊取り扱いとする。
(甲)による11種の魔法の使用を確認、内訳は以下の通りである。
(魔法前の数値は計測により判明した、(甲)が魔法の発動に使用する魔力で、現存する魔力の数値化とは異なる(甲)独自の魔力単位。)
既存の魔法
1「影貫く蛇の弓弩」
1「鋼砕く狂鬼の纏」
2「魂写す翡翠の眼」
2「蜜滴る銀の釣瓶」
3「躰廻る朋の叫喚」
3「盃掲ぐ虚栄の冠」
4「渦巻く真理の泉」
4「義謀る怠惰の徒」
未知の魔法
2「路示す雷の指針」
3「魁謳う天星の詩」*1
4「宝煌く百代の宮」*1
*1 魔法が発現したことは確認されたが、(甲)は効果について把握していないもの。
(甲)の使用する魔法はいずれも通常よりも高い性能を発揮した。
一般的に、魔法とは使用する魔力量を調整することで、威力や効果について範囲を変更できるが、(甲)はその種類ごとに使用される魔力量が一定である。
(甲)の魔力は、およそ10分で1単位回復する。
これは魔力の回復量として極めて異常な値であり、人間だけでなく、遺物でも過去に同様の機能を備えた例は発見されていない。
回復とは別に、時間経過とともに使用できる魔法が増えていくという、段階的な魔法の解放という性質が確認された。
一定の威力を発揮する魔法、他に類を見ないほどの魔力の回復力、一定時間ごとに使用できる魔力が増える性質により、(甲)は使用できる魔法に制限をかける事を対価として、高火力の魔法を短サイクルで行使するための設計がされているものと考えられる。
過去に発表された、キ・ディスティマンによる大規模な魔法式に対する効率化の研究で、可能性が提示されたものの実現出来なかった理論に共通する項目があり、(甲)の同意の元、学園にてさらなる検証を行っていくものとする。
◇
環奈利緒のについての報告は、その特異性を記録するばかりで、検査により彼を「人」という枠組みに抑えることが出来なかった。
利緒当人は自身の扱いについての訂正が受け入れられぬまま、学園で生活することなる。
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