仲良くはない
昼休憩を迎えた。
小雨が降っていたので空き教室で弁当を食べることにした。
空き教室に姿を現したのは谷治だった。
「ここにいた〜!!かずくん、西條は一緒じゃないんだね!!珍しい」
「あいつとずっとなんて煩わしいだけだよ。何しに来たんだ?」
「何しにって一緒に昼食を……」
がらがら、と谷治が姿を現した扉が開き、芦田が姿を現した。
「やっと見つけた……って谷治先輩が居る」
芦田は今にも舌打ちをしそうな表情を顔に貼り付けていた。
「中川先輩っ!一緒に昼食を食べましょう」
僕のもとに駆け寄って、背後で手を組んで誘ってきた芦田。
「谷治も一緒なんだけど……良いか?」
舌打ちを恐れながら、聞いた。
「良いですよ、もちろん!」
僕が座っていた席の近くにあった机に机をくっつけて、菓子パンを机に置いた芦田だった。
「芦田さん、遠慮しないのね」
「谷治先輩は遠慮してないのに、西條先輩に盗られてますね」
「喧嘩売ってるの?」
「そんなつもりはないですけど。中川先輩、西條先輩は居ませんけどどうしたんですか?」
「あぁー、説教されてるあいつ……」
芦田は菓子パンにかぶりつき、咀嚼する。
「芦田さんはかずくんに纏わりついてるけど同級生とは仲良くないの?」
「少ないですけど、居ますよ。友達くらいね。谷治先輩こそ先輩に纏わりついてばかりで、友達居るんですか?」
芦田が嘲るような感じに煽っていく。
「友達くらいいるわ!!やる気?」
「泣いても知りませんよ、谷治先輩!」
「喧嘩はそのくらいで昼食を食べないと。二人とも」
午後の授業が終わり、SHRを終え、放課後になる。
「和希ぃ〜一緒に帰ろう」
西條に一緒に下校しようと誘われるが部活の仲間に引き剥がされていく彼女。
「西條、部活あんだから行くよ!!」
「和希ぃ〜どうにかしてー!!」
「部活をやってこい」
「ほれ、彼氏も言ってるんだ。諦めて、こい!!」
「和希の薄情者ぉ〜〜!!!」
僕は通学鞄を肩に提げて、教室を出て、昇降口に向かった。
廊下を歩いていると壁に向かってぶつぶつと呟いていた教諭が僕を呼び止めてきた。
「おぉ〜中川!暇か?手伝ってくれたら、飲み物奢るぞ」
通り過ぎる生徒達は引き止められまいとそそくさと去っていく。
「やります」
僕は諦め、教諭の手伝いをした。
20分も掛からずに終わって、自動販売機に行って紅茶を一本奢ってもらった。
「中川、ありがとう。助かった。寄り道せずに帰んなよ〜!」
教諭は職員室に戻っていった。
昇降口でスリッパを脱いで、スニーカーに脚を突っ込んで歩きだした。




