闇に浮かぶ船
川面に停留するオークの船は音も川面に浮かんでいた。
暗い海面を長い時間をかけて泳ぎ切ると、アイル達は右舷の船体の影に身を潜めた。
突如耳をつんざくような轟音とともに、左舷がなにかの爆撃を受けた。
船がきしみ、マストが大きく揺れた。
アイル達は船べりに鉤縄を掛け、船の中棚を一気によじ登った。
その時、船べりからゴブリンが顔を出した。
引きぼった弓からボルトが放たれた。義勇兵は顔面を撃ち抜かれて死んだ。
アイルは一気に船べりを乗り越え、短剣を突き出しゴブリンの首をついた。
左舷ではオークが水面に矢を撃ち込み、丸出しの背中を曝していた。
アイルは迷うことなくその背中に直行した。
そして短剣を逆手に持ち替えると、太い首を人刺しで貫いた。
甲板はすぐに乱戦になった。
エリスが鉤縄をよじ登った後、アイルたちに言った。
「ここは任せた!」
エリスは船橋に突撃した。中には今だに戦闘準備のできていないゴブリン共が間抜けにたむろしていた。雑魚は長剣の一振りで一気に薙ぎ払い、船尾へ向けて一気に駆け抜けた。
エリスは船尾の扉を開けた。中には紅いマントを着けたオークが鎮座していた。数多の鎧の古傷がこのオークの何たるかを語っていた。
こいつが船長だろう。船ごと自死する前に、一気にかたをつける。
やつは鋳鉄製の犬の頭を形どった兜をかぶった。そして巨大な鉄斧を握り立ち上がった。
エリスは体を丸めて突進した。やつが鉄斧を振りかざした。
エリスは足を踏み込み更に速度をあげ、斧の軌道に入った。大振りの戦斧が凄まじい速度で振り下ろされた。
エリスは右手の小盾でこれを受けた。
凄まじい衝撃音とともにオークの戦斧が弾かれ、刃が粉々に砕け散った。オークは驚嘆に目を見張った。
エリスはそのまま盾で兜の鼻先をかちあげた。
兜ごと脳を揺さぶられたオークは、糸の切れた人形のように膝から崩れ落ちた。
オークはその盾の正体を見た。厚さ三インチの鉄の塊だ。重さは三百ポンドはくだらないだろう。
エリスはオークの巨体にまたがり、盾の尻をオークの首元に打ち下ろした。
オークの首は吹き飛び、血を吹き出しながらオークは死んだ。
エリスが甲板に戻ると、既に敵は皆殺しにされていた。
エリスは勝鬨を上げた。




