#033「カイサイ」
@スタッフルーム
真理「大日は、一声が効くスマートな鶴。不動さんは、飛べないけど走れる駝鳥。修羅さんは、時を告げられない寝ぼすけな雄鶏。弥勒さんは、地上だと頼りないけど、水面下で真価を発揮するペンギン。蛭子さんは、お魚が好きなペリカン。帝釈さんは、派手好きだから孔雀。アッ、派手なのはオスだけだったっけ。でも、メスが派手な鳥なんて思い付かないわ。あと、鬼子さんにはお会いしたこと無いけど、聞くところでは美人らしいからフラミンゴ。賀茂さんは、鴨で良いか。飄々としてるところは、鴎かもしれないけど」
――グッディブニーング、レディーセンジェントルメン。今夜の妄想タイムは、もしも、常世の皆さんが鳥だったら、とテーマでお送りしています。それでは、今夜もご機嫌なナンバーをお届けしましょう。……なんちゃって。
真理「現実逃避は、これくらいにしよう。まさか、お別れが明日になるなんて思わなかったな。やっと帰れる、待ちに待った機会のはずなのに、不思議と嬉しくないわ。手放しに喜べないのは、何故かしら?」
――理由は簡単。心の底で、引っ掛かってることがあるからだ。気掛かりというか、それとも心残りと言おうか。思い残すことがあるとすれば、不動さんのことだ。
真理「両片思いであることくらい、わざわざ指摘されずとも、薄々感づいていたともさ。ただ、認めたくなかっただけで」
――恋してはならないという分別が、好きだという気持ちを邪魔して、条件や立場や相手への迷惑といった言い訳を用意してしまうのだ。どうせ、お付き合いできないのだから、最初から好きでなかったことにしてしまおう。付き合わなくて良かったと思いたいがために、わざと欠点に注目して嫌いになろうとする。わたしの分別は、イソップ童話の狐そのものだ。
真理「葡萄が甘いか酸っぱいかは、食べてみなければ判らないというのに」
――イヤラシイ雌狐になっていく自分には、ホトホト嫌気が差すわ。日に日に女性として成熟していく自分と、まだまだ夢見る少女のままの自分との、終わりの見えない葛藤だ。どうして、わたしの人生は、ここまで複雑なハードモードになってしまったのだろうか? 小さい頃は、割りと単純でイージーモードだったはずなのになぁ。
真理「……いや。冷静に思い返せば、幼稚園の頃に体操のお兄さんに一目惚れしてからこのかた、ずっと厄介で面倒な好意を抱きっぱなしだったわね」
――シュルツ先生、お元気かしら? たしか、兵役免除の代わりで来日して、奉仕活動をしてたのよね。ということは、まだあの当時は二十歳前だったんだ。もの凄く大人びた印象があったのに。でも、そんなシュルツ先生も、もう三十路超えなのか。祖国に帰って、結婚して、子供がいるのかしら? 白人は一気に老けるからなぁ。禿げてたり、メタボになってたりしてるのかしら? ご多分にもれず、ビールとソーセージをお伴にサッカーを観戦するのが、何よりもお好きだったもんなぁ。ご贔屓は、バイエルンだったかしら?
真理「我ながら、無謀な恋をしてきたものだわ。白木の棒と木綿の服だけで、いきなりラスボスに挑戦するようなものじゃない。まずは、地道にスライムを狩りなさいって話よ。……ん?」
――閑話休題。つまり、自分でモード選択してたということか。
真理「そうか、自業自得だったか。そいつは傑作だな。ハーハッハ!」
――キャラクターがゲシュタルト崩壊しないうちに、眠りに就こう。続きは、明日の朝に考えよう。そうさ、明日があるさ。今日が駄目なら、明日にしましょう。どこまでいっても、明日はあるもの。先送り、先伸ばし、万歳!
真理「それでは、どなた様もおやすみなさいませ。夢で会いましょう」




