25 思いの丈/盗賊騎士
ふと、目が覚めた。
俺は、確かさっき死んでしまったはずだ。
おおソラ=シドよ、死んでしまうとは情けない。
だが、ここにそんなことを考えている俺がいるということは、どうやら死後の世界は存在しているらしい。
周囲の風景は昔何かに書いてあったような美しい緑に囲まれた天国ではないようだが、死よりも恐ろしいような地獄でもないらしいのは救いだ。
いやきっとこの空間に漂う厳かな雰囲気は、どちらかといえば天国寄りであるに違いない。
いやあ、日頃の行いには微妙に自信がなかったが、見ている人はちゃんと見ているものだな。
世間でいうところの神という奴も、アルス様ほどではないだろうが見どころのある奴みたいじゃないか。
よくよく味わってみると、微妙に息がつまるとはいえここの厳かっぽい雰囲気も悪くはない。
むしろいいじゃないか、何か懐かしい感じがする。
そう、この感覚は確か、クメイトの奥さんを治療するために城に行ったとき入れてもらった聖堂に入った時と同じような……、
……。
って、これその聖堂まんまじゃねーか!
いや、そもそもこれ俺死んでなくね!? 確かに意識が残ってた最後にこれと同じような場所に飛び込んだ記憶があるぞ!?
いやそうだ、間違いない。
俺は確かミツハに斬られた後、何とか逃げ出そうとしてアホみたいに真っ直ぐ進み続けてこの建物の扉に突っ込んだんだ。
その時俺は、確かに斬られた傷と毒で死ぬ寸前だった筈で……。
あれ?
「傷が、ない?」
思わず声を出してしまう。
勿論傷だけでなく、こうして動けている以上毒だってないのは確かだ。
いや、だがそれはおかしい。逃げだした後どころか、斬られた直後にはもう無理なことを悟るような傷と毒のダメージだったはずだ。
そんな複雑な症状、仮にここで意識を失った瞬間にどっかの暇な超高性能の医者が全力で治療したってどうにかなるレベルじゃない。
大体、ミツハに切り落とされてその場に落ちたはずの左手だってしっかり元に戻っているのだ。
斬られた腕がここにあったならまだしも、それを新たに生やすなんてことどんなに医療魔術に精通した人間にだって不可能な筈だ。
まさか、寝ボケたのか?
徹夜あけで騎士団の詰所から店に帰る途中で頭がおかしくなってここに突っ込んだとでもいうのか。
確かに、徹夜明けで馬鹿みたいに眠かったし絶対にあり得ないとは言い切れないが……。
いや、しかし、あの斬られたときとその後に味わった今まで想像したこともないような激痛は、とても脳内の夢だけで作れるようなものだとは……?
「気が付いたようですね。手遅れになっていなくて、よかった」
そうして俺がいつまでも現状を認識できないでいたとき、不意に横合いからそれだけで蕩けてしまいような美しい声で、俺をいたわる言葉が掛けられた。
慌ててそちらを振り返る。
そこには、先程起きたばかりで思い浮かべた城内部にある聖堂で一度だけ会ったことのある、だがその一度だけで脳裏に強く焼き付けられた美しい銀の髪をたたえた少女がいた。
「――」
あの時は顔を隠すためにつけられていたヴェールが、今はない。
だから彼女の美しい顔が何の妨げもなく俺の目に飛び込んでくる。
その顔と、髪と声の美しさにばかり気をとられ肝心な名前を思い出すのがワンテンポ遅れた。
確かあの時、この少女が呼ばれていた名前は……。
「……? どうしました? 一応傷は完全に治せたと思うのですが、どこかおかしいですか?」
その顔を見詰めたまま固まった俺の反応を怪訝に思ったのか、少女は俺に向かってそう問いかけてきた。
あまり起伏のあるリアクションではないが、もしかしたら慌てているのかもしれない。
って、そんな場合じゃない、早く返事をしないと。
何せ恐らく、この人が俺を、
「し、シーリスフィア様が、私を、治療してくださったのですか?」
ようやく声を出して返事をすることができた。
そうだ、この人は確かシーリスフィア様と呼ばれていた筈だ。ぶっちゃけ見た目に気を取られ過ぎてうろ覚えだが、珍しい系統の名前だから多分間違ってはいないはずだ。
それに一応聞きはしたが、彼女が俺を癒してくれたのは確実だろう。
治療を試みたといって直せるような傷ではなかった筈だが、確かにあそこでクメイトの奥さんを治療した彼女の手腕と不可思議な治癒術であれば、あるいは……。
「よかった、大丈夫そうですね。先程の問にお答えいたしますが、確かにあなたの身体は私が直しました。
いきなり失礼かとは思いましたが、一刻の猶予もない怪我のようでしたので、勝手に。
ご迷惑だったでしょうか?」
そう言ってにっこりと微笑むシーリスフィア様。
城で見たときには少し冷たそうな印象もないではなかったが、ここにいる彼女には全くそんなことはなく、むしろとても暖かだ。
いや、あの時から見た目からして平民であるクメイトにわけ隔てなく優しく話しかけたりしていたし、口数が最小限だっただけで決してそんなことはなかったか。
やばい、俺には既に天使がいるというのに、しかもそれはただの天使ではなく多分世界でトップクラスな天使でしかも神の妹という圧倒的な天使っぷりである筈なのに、それにすごい勢いで迫るくらい、この目の前の少女も天使レベルが高いかもしれない。
こうみえて俺は一途ならしい筈なのに……。でも何というか、この子の場合声がヤバい。どうヤバいかっていうと、すごく、ヤバい。
よし、今からこの方は女神であるということにしよう。また一つ俺の脳内神話の配役が埋まったな。
ていうか失礼やら迷惑やらだなんてあるわけない。
そうだ、お礼! お礼いってないよ、俺! はやくお礼しないと!
「いや、め、迷惑だなんて、とんでもない! それどころか、あんな助からないような怪我から助けていただいたのに、今の今までお礼もせずに、本当に申し訳ありません! ありがとうございます!!」
そう言うと同時に即座に土下座する。本気で土下座をするのは生まれて二回目のような気がするが、出来ればあまりやりたくない筈であるそれを安易に今した後悔は微塵もない。
それどころかこの人に土下座を差し上げられるなんて、御褒美もいいところです。
「か、顔を上げてください。目の前で危機に瀕している人がいて、自分にそれをどうにかする力があったら使うのは当たり前のことです。そんな、土下座なんてしないでください。その、こ、困ります……」
本当に困っているような声を出すシーリスフィア様。
そんな言葉でさえこの声で紡がれたのであれば、どんな芸術的な歌詞よりも美しい。ああ、癒される……。
「しかし、城でお会いしたときには、アルス様への借りと交換だと……」
「あ、覚えていてくれたのですね。……そうですね、では、これは貸しにしましょう。いつか、どこかで返してくださいね? さあ、それで対等なのですから、顔を上げてください」
ああ、本当にこの優しさを昔どっかで困っている人の弱みに付け込んで大事な荷物を根こそぎ奪い取ったどっかの馬鹿じじいとかに聞かせてやりたい。
と、大事な荷物と言えば……!
剣! 剣どこ!? ていうか相変わらず寝起きの悪い大間抜けかよ俺は!?
死んでも誰かに渡そうとしていた剣を、起きてから今まで考えもしないとか、阿保か!
ん? ところで死んでから目覚めたときも寝起きっていうんだっけ?
床に頭を擦り付けていたと思ったらいきなりガバッと顔をあげ露骨にキョロキョロし始めた俺に、シーリスフィア様は一瞬ビクッと身を震わせて恐る恐るといった感じで様子を見ていたが、やがて胸の前でポン、と片方の掌にもう片側の拳を可愛く打つ。
女神にしてはちょっと愛らしすぎるその仕草は、どちらかというと小動物のそれに近い。
そうして、近くの礼拝用であろう長椅子に歩み寄ると、その上に置いてあったらしい薄汚いポーチと、一振りの鞘に入った剣を両手で抱え上げた。
「お探しのものは、こちらですね?」
その言葉とともににこりと薄く微笑み、ポーチを手渡してくれる。
それに俺は急いで立ち上がり、またありがとうございますの言葉を述べてできるだけ失礼のない態度で受け取った。
そうして、すぐにもう一つの荷物も渡してくれるのだろうともう一度目の前の彼女に視線を向けた、その時。
「――」
目の前の少女の雰囲気は、一変していた。
残った鞘込めの剣を両腕で抱えた姿勢はそのまま、暖かく微笑んでいた顔だけが、今は険しい。
こちらを睨むような、それでいて問いかけるかのような、一種の冷たささえ感じる、その視線。
それに見つめられて、死の淵から奇跡の生還を果たしたことで知らず舞い上がっていた気分が一気に引き締まっていくのを感じる。
知っている。
理由はわからないが、この少女は間違いなくこの剣と、その由来を知っている。
「……」
言い訳か、謝罪か。
何か言った方がいいのはわかるのに、肝心の何をどう言ったらいいのかわからない。
それも当然だ。
俺は目の前の少女にとってこの剣が何なのかは愚か、この剣について、それが『聖剣』であるらしいこと以外ほとんど何も知らないのだから。
「この剣は、ただの剣ではありません。性能云々ではなく、その在り方が他の剣とは根本から違う、人類の行末さえも占うかもしれない特別な剣なのです」
それは、知っているようで知らない話だ。
一般論が曰く、聖剣はその小さな見た目からは想像できないほどの力を内に秘め、ただ一振りで戦況さえ変える奇跡をもってこの世界に人類の居場所を切り開いたのだという。
それは確かに特別な剣であるだろう。
だが彼女がいうのには、特別なのは力ではなく、その在り方の話だという。
それがどういうことなのかは、俺は知らない。
そういえばいつか正しく聖剣の担い手であるという彼が、人類は薄氷の上にいると言っていた。
それさえも俺は詳しくは知らないが、あるいはそのことが、何か関係しているのだろうか。
だが、それはもういいだろう。
元より俺は今日外へ出た時点でこの剣を然るべき場所へと戻すつもりでいた。
十八年も余計に、本来の栄誉からかけ離れたふさわしくない日陰へと追いやってしまったことを詫び、この剣にふさわしい担い手の元へ返すのだと。
それは、俺が死んで生き返ろうがなんの変りもないことだ。
目の前の少女・シーリスフィアが何者なのかは知らないが、彼女がそれを俺に代わってやってくれるというのなら、俺は礼を述べてでもそれをお願いするべきなのだ。
「だから、貴方はここで決めなさい。この剣をとり為すべきことを為す勇気があるのなら、今私から剣をとる決意を。そうでないのなら、これをここに置いていく覚悟を」
……そう思っていたのに。彼女が発した言葉は、俺が予想したものと違っていた。
選べと。
この剣をとり人間の未来とやらのために戦うか、それを誰かに任せるのかを、自分で。
「偶々会ったばかりだというのに何をと思うでしょうが、私は貴方を知っています。
ですから、貴方がここでどんな選択をしようとも私はそれを尊重しましょう。
臆することも、恥じることもなく、ただ自分の心に沿って決めなさい」
決断を迫る少女の声は続く。
俺は、何の考えもまとまらないまま、それでも声を絞り出す。
俺は、この剣を――
「俺には、その剣を使う実力も、主義主張さえもないんですよ。もし、誰か他の人がやるというなら、きっとそちらの方がいい結果になると思う。だから、この剣は貴女に預けるのが一番いいんじゃないかと」
「……そうですか」
口をついた言葉は本心だ。
俺は何よりもこの剣に、その秘めた力に、ふさわしい活躍の機会を与えてやりたい。
そのためには、きっと俺よりうまくやれる奴や、強い力と意志をもった奴は幾らでもいる。
でも。
”貴方達が、他人を救いその命を繋いだ事への正当な契約に基づく報酬として得た以上、その剣は真に貴方達が手にしているべきものだ”
”そうだな。できれば誰かのためになるような仕事を選ぶのがいいんじゃあねえかな!”
「でも、俺はこの剣で何かのために戦いたいんです。
昔、二人の祖父が伝えてくれた、その言葉を信じて、実現するために。俺はその剣を今ここで貴女から盗ります」
回らない頭を越えて直接胸に飛来したのは、誰よりも大好きだった祖父と、誰よりも尊敬できる祖父の言葉。
そうだ。今から三年前のあの日。
俺の二人の、共にかけがえのない祖父たちが出会い生まれた一つの物語を聞いたときから。
俺はこの剣を手にとって、誰かのために戦いたかった。
その言葉を聞いて、俺の心に従えと言ってくれた少女はその美しい顔に微笑みを浮かべ、銀の髪を揺らしながら俺に剣を差し出した。
「それに、折角貴方に救っていただいた命を此処から出ても繋ぐには、多分選択の余地がないんですよね。まあ、俺みたいなのでご不満でしょうが、質の悪い盗賊に絡まれたと思って諦めてください」
最後に冗談っぽく言って、その剣をとる。
そうしてその時確かに、何かが開くような音が頭の中に響いた気がした。
「確かに、貴方の心を聞きました。
さあ、行きなさい。貴方がその剣で為すといったこと、それを為すためにまず第一に守らなくてはならないものを守り、その剣にふさわしい担い手であることを証明しなさい」
言って、シーリスフィア様は俺に背を向ける。
意外とスパルタだな、と思いつつも俺は彼女の言葉に従って聖堂の外へと歩き出す。
どうやら壊れずに済んだらしかった扉を開ける前、いつかと同じように一度だけ振り向き、彼女の姿を見た。
その体は、確かに城の聖堂にはなかった筈の彫像、唯一神であるらしいエメス神のシンボルへと向けられている。
彼女の両手は胸の前で組まれ、その姿は正しく神に祈りを捧げる聖女であるようだ。
だというのに俺には何故か、彼女が祈っているのは彫像に落とし込まれた神エメスなどではないような気がしていた。
扉を開け聖堂の外へと出る。
俺が死にかけてからどれだけの時間が経ったのか、周囲の空気は暖かな春の宵から冷たい丑三の空気へと変わっている。
そこへ。
「本当にお前には何度も驚かされるな。あの傷をつけて走り去っただけでも驚きなのに、今度は一体どんな手品を使った? そう簡単に治療できるような毒ではないはずなのだが」
そのまま数歩前へと歩くと、斜め前方から女の声が掛けられた。
最早確かめるまでもない。それはもう忘れようとも忘れられない、俺を殺した女暗殺者・ミツハの声だ。
「最後まで足掻くのが望みであれば敢えて止めは刺すまいと思ったのだが。どうやら今回は、首を取ってこいと押した依頼主の判断が正しかったらしい」
「それでまた態々殺しに来てくれたのか? 全くどうにも、暗殺者なんてやっているくせに、やたらとクソ真面目な女だな」
一旦死に体の俺を放って依頼完了の報告に行っておきながら、依頼者の要望で態々首を取りに戻ってきたらしい女暗殺者の妙に生真面目な仕事ぶりに悪態をつく。
全く、そんなもの適当にごまかしておいてくれればそれでいいのに。
そんな彼女からしたら震えながら命乞いをして然るべきだろう相手の減らず口にも、ミツハは気を悪くした様子もなくむしろ、
「ほう、あれだけやられて未だ戦意が残っているとは、本当に見上げたものだ。どうやって傷を治したのかは知らないが、私としても動かない相手の首を取るよりかは幾分やり易いよ」
そう言いながら手にした太刀を引き抜く。
俺の背丈に迫る長さの太刀を滑らかに一息で引き抜く動作は、一度殺された後だというのに美しい。
だが、こうなれば俺も再び……いや、今度こそ覚悟を決めて戦わなければ。
今まで俺の幾度もの窮地を救ってくれた愛剣、魔封剣パライズバイトは投げ捨てた。
そうでなくともこの敵を前に、元より他に選択の余地などない。
それどころかこれを使ってさえ勝てる保証などはどこにもない、地力が一段も二段も違う相手だ。
俺は躊躇うことなく、先程少女から受け取ったその剣を鞘から引き抜いた。
瞬間。
「……!? 何だ……?」
零れだしたのは、夜の闇をも切り裂き一面を照らす銀の光。
それはまるで、俺を救った少女の髪のように輝いて。
「何らかの、魔剣……? いや、これは……まさか!?」
驚きは、暗殺者のものだけだ。
変化は外見だけに留まらない。
今まで、どんなに願っても俺にその秘めた力を決して見せてくれなかった聖剣は、今度ばかりは握っただけで俺に対し余りにも多くを与え、そして語り掛ける。
身体から迸るのは溢れんばかりの闘気。同時にこの身を包むのは、これまで感じたことがない圧倒的な万能感。
脳内には不思議と、この剣の使い方と来歴がまるで見てきたかのように頭の中に思い浮かんだ。
目前には驚きの表情を見せる、先程俺をただの一太刀で殺してのけた暗殺者。
大丈夫だ。これなら、きっとこの尋常でない相手とでも満足に渡り合えるだろう。
こうして。ある貴族の探索による発見から18年もの空白の後。
奇跡のような偶然を経て、今この時、在り得ざる『第六の聖剣』がこの王都に顕現した。
構えを取る。
それを見た眼前の敵も、わずかにみせた動揺を即座に打消し、呼応するかのように手にした剣先を上げた。
互いに武器を構えた以上、最早互いに交わす会話などない。発するべき言葉があるというのなら、それはきっと一つだけだ。
先程の戦闘は、その実戦いではなかった。
一合も切り結べなかったのとはまた別に、俺は反射だけで剣を抜いていたものの勝とうなどとは微塵も思っておらず、ただ全力で逃げたかっただけ。
今度は違う。
聞くところによると誇りを賭けて戦う時、騎士は名乗りを上げるものらしい。
それならば俺も今回は、偉大な先人達に倣うとしよう。
「ザフィアス王国第五騎士団、盗賊騎士ソラ=シド」
告げたのは何ともチグハグな称号。本来相容れぬ、それでいて俺を現すのにはこれ以外ない変な字名だ。
俺の構えはいつもと同じ青眼、この世界で最もオーソドックスな、ひねりもないローゼス流本格派の基本スタイル。
返す名乗りは期待しない。敵は本来、闇に紛れる暗殺者だ。戦いの前に名乗る流儀などありはしまい。
だというのに。
「暗殺者、ミツハ=アメノ」
聞こえたのは、堂々たる返礼。
見るとその目と構えには、先程は強引に掻き消していたようにも見えた俺の剣の異様に対する不審や、俺に対する侮りなどの余分は微塵も見られない。
ああ、何て喜ばしい。この相手は確かに、俺がこれまでの人生とこれからの誇りを賭けて戦い、そしてこの剣の初陣を飾るのに一つとして不足ない、誇り高い相手だ。
刹那、これまで歩んできた短い人生に思いを馳せる。その全てを尽くし、俺はこの戦いに勝利してみせよう。どうか、見守っていてほしい。
俺達の間に、もう言葉はない。
こうして最後に幾分無言を保ったまま、いつしか俺とミツハの、最後になる闘いの火蓋が切って落とされた。




