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才能屋  作者: ハル
1章 迷子の営業マン
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誰にも連絡できない週末

土曜日の朝、目が覚めたのは昼前だった。


寝覚めが悪い。

体は重く、頭も痛い。


昨日、彼女に振られた。


今日が休みでよかった。

会社に行く気力なんて、まるでない。


予定もない。誘われる友人も、行きたい場所も思い浮かばない。


大学時代の友人グループのLINEは、とっくにミュートにしていた。

たまに通知が来るが、開く気にもなれない。


——どうせ、みんな充実してるんだろうな。

  開いたところで、惨めな思いをするだけだ。


最後にグループLINEを開いたのは、半年前。

そのときは「久しぶりに飲もうぜ!」という誘いがあったが、カケルは既読スルーした。


——行ったって、何を話せばいいんだ。

  仕事の話? 恋愛の話? どっちも何もない。


それ以降、誘いは来なくなった。


結局、コンビニで買った冷凍パスタを温めて、テレビの前でぼんやりと座る。


画面には、有名企業の新社長が「挑戦」について語っていた。


「好きなことを突き詰めれば、道は開けますよ」


その言葉に、どこか他人事のような寂しさを感じる。


昔、自分も"好きなこと"があった気がする。

けれどそれが、いつ、どこで、どんな理由で消えてしまったのか。思い出せなかった。

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