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才能屋  作者: ハル
3章 対話と気づき
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改札の白井

改札の前に、白井は立っていた。


休日の駅前。人の流れの中で、白いシャツに黒いベストの姿だけが、どこか浮いて見えた。


「こんにちは、高峰さま」


「……どうも」


「歩いて数分です。こちらへ」


並んで歩き出す。

白井は、前を向いたまま歩いていた。

会社のことも、先週のことも、何も聞いてこない。


沈黙が気まずくて、営業の癖で、天気の話が口をついて出た。


「……今日は、いい天気ですね」


「そうですね。歩くには、ちょうどいいです」


それで、会話は終わった。


しばらく歩いたところで、白井が言った。


「今日のお代は、事前に済ませてあります」


「えっ。いや、それは——」


「お気になさらず。私がお誘いしたので」


その言葉に、吉田の声が重なった。


——今度、飯でも行こうぜ。おごるからさ。


それだけだった。

断る言葉を探したが、やはり見つからなかった。


「……ごちそうに、なります」


白井は、うなずいただけだった。

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