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才能屋  作者: ハル
1章 迷子の営業マン
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できる同期と、ゆがんだ解釈

仕事が終わる18時、パソコンを閉じる手に、もはや力はなかった。


ふと、吉田が近づいてきた。


「高峰、今日もお疲れさん」


「……ああ」


「調子どう? 最近あんま話せてないけど」


「まあ……ぼちぼち」


「そっか。まあ、焦らんでいいって。俺も去年までは全然だったし」


——"焦らんでいい"?

  お前はもう結果出してるくせに。

  そんな余裕のある顔で言われても、何も響かない。

  むしろ、俺のことバカにしてるんじゃないのか。


「……ありがとう」


吉田は満足そうに笑って、自分の席に戻っていった。


その背中を見ながら、カケルはふと思う。


——吉田は、いつも明るい。

  いつも結果を出している。

  周りから認められている。


自分とは真逆だ。


同期として同じスタートラインに立ったはずなのに、いつの間にかこんなに差がついてしまった。


吉田の声が、フロアに響く。

「課長、明日の商談決めてきます!」


田嶋課長が笑いながら応じる。

「おう、期待してるぞ!」


——あいつには"才能"があるんだろうな。

  俺と違って。


カケルは、視線を落とす。


——吉田は善意のつもりなんだろう。

  でも、結果を出してる奴が言う言葉じゃない。


 「お前には才能がないから、どうせ無理だ」って、諦めろって言われてる気がする。


吉田の「満足そうな笑顔」が、脳裏に焼きついて離れない。


あいつは、全部持ってる。

有名私大を出て、実家は裕福で、友達も多い。

週末は彼女とデートして、SNSには楽しそうな写真ばかり投稿している。


デスクの端に置かれた吉田の名刺入れが、目に入った。

高級ブランドの、革製のもの。


自分のは、入社時に配られた安っぽいプラスチック製だ。


——俺とは、スタートラインが違う。

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