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終電
蛍光灯が、ひとつずつ消えていく。
吉田は、とっくに帰っていた。
田嶋課長も、「戸締まりは任せる」とだけ言って、先に出ていった。
最後の1件を切ったとき、終電の時刻が迫っていた。
走って、ホームに滑り込む。
ドアの窓に、疲れた顔が映っている。
スマホを取り出して、メモ帳を開いた。
いつもなら、真っ先に才能屋の住所を確かめる。
今日は、そこを見なかった。
吉田の言葉の下の、空白の行。
田嶋課長の言葉を打ちかけて、消した。
書いたところで、何になる。
今度の土曜。
行くのか、行かないのか。
決められないまま、画面を閉じた。
電車が、暗い街を走っていく。




