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才能屋  作者: ハル
2章 才能屋との巡り会い
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無能な営業マン

席に座り、受話器を取る。

指が、うまく動かなかった。


「お忙しいところ失礼いたします。私、株式会社C-GATEの——」


プツッ。


次の番号を押す。


プツッ。


吉田の声が、耳に残っていた。


——気にすんなよ、か。

  俺の見込み先を、取り上げた口で。


怒られたくなくて、リストの整理やロープレに、時間ばかり使ってきた。

並べ替えたリスト。何度も書き直した台本。

誰もいない会議室で、壁に向かって繰り返した、ロープレ。


準備が足りないから、取れないのだ。

そう言い聞かせて、また準備をした。


それでも、数字は鳴かず飛ばずだった。


あの部屋では、最後まで話を聞いてもらえた。

あれは、何だったのだろう。

電話の向こうでは、誰も聞いてくれない。


——才能?

  笑わせるな。まずは現実を見ろよ。

  俺は無能で、ダメダメな営業マンだ。

  入社して数年、契約は片手で数えるほど。価値のない人間だ。


怒りと後悔が、ぐちゃぐちゃに混ざる。

田嶋課長への怒り。吉田への怒り。

あの部屋で時間を使った自分への、後悔。


そのどれが本当なのか、自分でも分からなかった。

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