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口に出した本音
「高峰さま。今日、契約が必要な理由を、うかがってもよいですか」
「……理由」
「はい。話したくなければ、構いません」
少し迷ってから、口を開いた。
「上司に、取ってくると言ってしまったんです。毎週木曜に、どこへ行っているのかと、問い詰められて」
「それで」
「……それだけじゃ、ないんですけど」
手を、膝の上で握りしめていた。
「この仕事を選んだのは、周りを見返したかったからで」
「はい」
「親にも言われたんです。お前には無理だ、帰ってこい、って」
言ってから、自分で驚いた。
口にしたのは、初めてだった。
「トップになって、見返すつもりでした。……なのに、契約は、片手で数えるほどしか取れていません」
白井は、うなずいた。
「契約を取ることでしか、俺には、この会社にいる意味がないんです」
言葉にした瞬間、声が震えた。
白井は、答えを言わなかった。
「そうですか」と、一言だけ。
契約は、まだ取れていない。
それなのに、立ち上がる足が、すぐには動かなかった。




