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才能屋  作者: ハル
2章 才能屋との巡り会い
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聞き続ける人

沈黙が落ちた。

窓の外で、車が一台、通り過ぎる音がした。


「ありがとうございます」


白井が、静かに言った。


「最後まで、うかがいました」


「……では」


「契約は、いたしません」


予想していた。

それでも、胸の奥が、すとんと落ちた。


「今の私は、それを欲しいとは思っていません。ですので、お受けできません」


「……そう、ですよね」


「ですが」


白井は、少しだけ間を置いた。


「高峰さまが、本気でお話しくださったことは、伝わりました」


「……え」


「お気持ちは、伝わりました」


何か言い返そうとして、言葉が出なかった。


営業の電話では、最後まで話を聞いてもらえることなんて、ほとんどない。

途中で切られ、さえぎられ、ため息をつかれる。

売り込みを最後まで聞いてもらえたのは、初めてだった。


胸の奥が、じんわりと温かくなる。

目の奥が、わずかに熱を持った。


けれど、すぐに現実が戻ってきた。


——契約は、取れていない。

  取れなかったら、会社に戻れない。


温かさは、冷たい焦りの上に、薄く乗っているだけだった。

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