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才能屋  作者: ハル
2章 才能屋との巡り会い
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吉田の誘い

水曜、仕事が終わる18時。


フロアの隅では、今日も吉田の周りに、人が集まっていた。

カケルは、その輪に背を向けて、パソコンを閉じた。


足音が近づいてきて、声をかけられた。


「高峰、お疲れさん」


吉田だった。


「……ああ」


「今度、飯でも行こうぜ。おごるからさ」


明るい声が、フロアに響いた。

周りの何人かが、こちらを見た気がした。


「駅前に、うまい店見つけてさ。最近、あんま話せてないし。たまには、ゆっくりな」


——おごる、だと。

  同期に、飯をおごられる。

  持ってる奴の、余裕だ。


財布の中身が、頭をよぎった。

今月も、ぎりぎりだった。

それを、見透かされているような気がした。


机の下で、拳を握っていた。


断る言葉を探した。

見つからなかった。


「……考えとく」


「おう。待ってるわ」


吉田は、満足そうに笑って、自分の席へ戻っていった。


その背中を見ながら、胸の奥が、じわじわと熱くなる。

怒りなのか、恥ずかしさなのか、自分でも分からなかった。

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