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才能屋  作者: ハル
2章 才能屋との巡り会い
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帰り道の宿題

帰り際、白井が言った。


「次回までに、一つだけ、お願いがあります」


「何ですか」


「今週、誰かに言われて引っかかった言葉を、書き留めておいてください。覚えているままで構いません。意味は、考えなくて結構です」


「……わかりました」


「次回は、来週の木曜日に」


外に出ると、日が傾きはじめていた。


駅へ向かう道の途中で、振り返った。

グレーの壁の小さなビルは、そこにあった。

けれど、入口の表札は、もう光の加減で見えなかった。


——引っかかった言葉、か。


歩きながら、スマホのメモ帳を開く。

才能屋の住所の下に、空白の行を作る。


まだ、何も書けなかった。


今週、誰に、何を言われるのだろう。

そして自分は、それを何と受け取るのだろう。


点滅するカーソルだけが、画面の上で、次の言葉を待っていた。

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