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才能屋  作者: ハル
2章 才能屋との巡り会い
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認められたかった相手

「三つ目です」


白井が、静かに言った。


誰かに褒められて、うれしくなかったことはありますか。


おかしな質問だと思った。

褒められてうれしくないなんて、あるはずがない。


そう思ったのに、口が先に動いていた。


「……あります」


「聞かせていただけますか」


「同期に、励まされたことがあって」


吉田の顔が浮かぶ。

「焦らんでいいって。俺も去年までは全然だったし」

あの声と、満足そうな笑顔。


「励ましてもらった、はずなんですけど……」


言葉が、続かない。


「はずなんですけど」


白井が、同じ言葉を静かに返した。それ以上は促さず、待っている。


「……バカにされたような、気がして。いや、あいつは、そんなつもりじゃ、ないんでしょうけど」


言いながら、声が小さくなっていく。


白井は、少し間を置いてから尋ねた。


「その方は、あなたを認めないと、言いましたか」


「……言ってないです。でも、そう聞こえたんです、俺には」


思ったより、強い声が出た。


「そうですか。そう聞こえたのですね」


白井は、表情を変えなかった。

責められた気がしていた胸の奥が、少しだけゆるんだ。


——どこから、そう聞こえたのだろう。


白井は、答えを言わなかった。


「今日、答えが出なくて構いません」


窓の外で、風が一度だけ、ガラスを鳴らした。

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