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ただ一つ、引っかかること
会社に戻る電車の中、カケルはふと疑問に思った。
——才能屋って、本当にあったのか?
古いビル。
見えにくい表札。
誰もいないフロア。
白井という男は、確かにそこにいた。
でも、何かが現実離れしていた。
まるで、夢の中の出来事のような。
いや、それとも——
——俺が、見たいものを見ただけなのか?
スマホを取り出して、メモ帳を開く。
そこには、確かに才能屋の住所が記録されていた。
「……気のせいじゃない」
自分に言い聞かせるようにつぶやいた。
でも、心のどこかで、まだ疑っている自分がいた。
——次、行ったとき、本当にまたあの場所はあるんだろうか。
不安と期待が、混ざり合っていた。




