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「誰かに認められたい」のか、「自分を認めたい」のか
「才能屋は、才能を"与える"場所ではありません」
白井は、静かに続ける。
「あなたが"なぜ才能を求めているのか"。
その根っこにある"本当の問い"を、一緒に探る場所です」
「本当の問い……」
「そうです。たとえば、こんな問いです」
白井は、目をまっすぐカケルに向けた。
「あなたは、"誰かに認められたい"のか。
それとも、"自分を認めたい"のか。
どちらだと思いますか?」
——ドクン。
心臓が大きく跳ねた。
「……わかりません」
「わからなくて、構いません」
白井は、一枚の紙を取り出した。
「もしよろしければ、次回また来ていただけますか?
その際に、いくつか質問をさせていただきます。
答えの正しさは問題ではありません。
大事なのは、"なぜその答えが浮かんだか"という、あなたの内面の動きです」
カケルは、しばらく黙っていた。
——この人は、何を見ているんだろう。
でも、不思議と怖くはなかった。
むしろ、少しだけ、"見てもらいたい"と思っている自分がいた。
「……来週、行けるかどうか、約束はできませんけど」
「構いません。来られるときに、いらしてください」
白井は、初めて少しだけ、口角を上げた。
笑顔というには控えめすぎるが、それでも温かみがあった。
「では、次回は来週の木曜、同じ時間でお待ちしています」
「……はい」
カケルは、うなずいていた。




