20/41
才能があれば、苦しみは消えるのか
「高峰さま、あなたは"才能がない"と思っていますね?」
「……はい」
白井の問いは、まっすぐだった。
ためらいも遠慮もない。
「では、才能があれば、今の苦しみは消えると思いますか?」
「……え?」
予想外の問いだった。
「才能があれば……結果が出せて、認められて……それで……」
言葉が続かなかった。
——本当に、それだけなのか?
心の奥で、何かが引っかかった。
才能があれば、結果が出る。
結果が出れば、認められる。
認められれば、幸せになれる。
そう信じていた。
でも、今この瞬間、その「信じていたこと」が、どこかうそくさく感じた。
「……わかりません」
正直に答えた。
白井は、静かにうなずいた。
「わからなくて、構いません。それを一緒に探すのが、ここでの時間です」




