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「やりたかったこと」と「やっていること」の距離
「高峰さま、ひとつお聞きしてもよろしいですか?」
「……はい」
「今、お仕事は"広告営業"と伺っていますが、そもそもその職種を選ばれた理由を覚えていらっしゃいますか?」
「え……理由、ですか」
一瞬、言葉に詰まる。
就活中に内定をもらったから。
他が落ちたから。
とりあえず、就職しなきゃいけなかったから。
けどそれは、本音じゃないと分かっていた。
「……もともと、何か"つくる仕事"に憧れてて。でも、自分には無理だと思って……」
「つまり、"やりたかったこと"と"やっていること"の間に、距離があるわけですね」
白井の言葉に、思わず息をのんだ。
「この仕事をしていて、たびたびそうした"ズレ"を口にされる方がいらっしゃいます」
「……ズレ、ですか」
白井は静かにうなずいて、カケルの言葉を待った。
カケルは白井の目を見た。
その奥には、妙な透明さがあった。
何かを押し付けてくるでもなく、見下しているわけでもない。
ただ静かに、こちらの心の奥を"見ている"感じがした。




