18/41
はじめまして、才能屋です
ドアの奥から現れたのは、白いシャツに黒いベストを重ねた男だった。
30代前半くらいだろうか。清潔感のあるたたずまいに、どこか浮世離れした静けさをまとっていた。
「ようこそ。お待ちしておりました。……高峰さまですね」
声が、電話のときとまったく同じだった。
温度も抑揚も最小限なのに、なぜか、耳に心地いい。
「こちらへどうぞ」
誘導されるままに、応接室のような部屋に案内される。
中には、シンプルな木のテーブルと椅子が二脚。壁には一枚の絵もかかっていない。
白井と名乗った男は、静かに席に座った。
「改めまして、才能屋にご来訪ありがとうございます」
カケルも、促されるまま椅子に座る。
「私は"才能診断士"という立場で、ご相談をお受けしております」
「才能診断士……?」
「はい。お客様の"今はまだ言語化されていない能力"を、一緒に探るお手伝いをしています」
白井は一切笑わずに答える。
営業トークではない。本気でそう信じていることが、言葉の端々から伝わる。
カケルは思わず見入っていた。
この人は——うそをついていない。




