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訪問前夜
水曜の夜、帰宅してすぐにシャワーを浴びた。
部屋の明かりはつけたまま。珍しくスーツにアイロンをかける。
何を着て行こうか、ではなく、「どんな顔で会えばいいのか」が分からなかった。
これまで営業先には、すべて"演じた自分"で行っていた。
自信があるふり、余裕があるふり、相手を知っているふり。
でも今回は、どんな自分で行けばいいのか、見当がつかなかった。
ベッドに入っても、眠りは浅かった。
耳の奥に、あの声が残っていた。
夢の中で誰かにこう言われた気がする。
「あなたが一番最初になくしたもの、それが"才能"です」




