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異物のような名前
午前のアポリストを開く。
Excelファイルには、昨日の続きの見慣れた企業名がずらりと並んでいる。
何百件もあるその中で、
その名前だけが、まるで"異物"のように目を引いた。
才能屋
目を凝らす。
確かにそう書かれている。
列を間違えたのかと思ったが、ちゃんと「会社名」欄に収まっていた。
初めて見る名前。
ふざけているのか、本気なのか、それすら分からない。
住所も電話番号も、他の会社と同じフォーマットで記載されている。
誰かがジョークで入れたのだろうか。
けれど、カーソルを合わせると、手が止まった。
思考ではなく、直感が反応していた。
「……なんだこれ」
違和感。いや、違和感というより、"なにかに呼ばれている感覚"。
そういえば昨日の夜、
自分は確かにこうつぶやいた。
——俺って、何のために生きてるんだろう。
その言葉が、なぜか頭の中でこだました。
でも、すぐにかける気にはなれなかった。
誰かのいたずらかもしれない。
かけた途端に、周りに笑われるのかもしれない。
今のこの会社なら、十分にあり得る話だった。
——こんなものに構ってる場合じゃない。今日も、数字が足りていないのに。
カケルはその行を飛ばして、いつもの番号を押し始めた。
それでも、あの名前だけが、頭の隅に残っていた。




