第4話 死
「ま、そうだよな。」
何も振り込まれてはいなかった。
それはそうだ。口座には今から振り込まれる。
3日以内に振り込まれるのを祈るばかりだ。
帰り際、中華屋で餃子を食べることにした。
無料券があったのを急に思い出したからだ。
「はい餃子です」
そう言われ、1口2口と食べていく。
空腹だったからか、とても美味しかった。
だが、俺の箸は思わずとまった。
テレビから身に覚えのある名前が流れてきたからだ。
「市の自宅で、この家に住む男性 大木槌 義信(48)が倒れているのが見つかり、その後死亡が確認されました。警察は事件と事故の両面で調べています。」
俺が夢で殺した人間の名前だった。年齢も一致している。
おそらく本人だ。
食べかけの餃子をそのままに、銀行へ駆け込んだ。
通帳には、50000の数字が書かれていた。
間違いない。
俺は、5万円を手に入れた。
夢の中とはいえ、人を殺して。
銀行を出る。
外は、何も変わらない朝だった。
ーーー
家主は、ため息なのか安堵なのか、大きく息を吐いた。
封筒を渡す。
家主は、5万円を確認した後、念を押した。
「来月からはちゃんと払ってくださいね。これでも優しい方なんですからね。」
「はい」
俺は即答した。
だが、それは確実に払うことを保証するものではないことを家主は知っていた。このやり取りは今までに何度かあったからだ。
だが、今回は妙に落ち着いていた。
俺の去り際に、家主はこう言った。
「1ヶ月でも払わないなら、今後は退居して貰いますからね」
「はい」
俺は即答した。




