第2話 大木槌
眩しい光だった。
ドアを開けた瞬間平衡感覚が一気に失われ、強風が多方向から吹いてくる感覚。スカイダイビングをしているような感覚に近いかもしれない。
光が治まると同時に平衡感覚もマトモに戻った。
俺は、知らない部屋のベッドの上で寝そべっていた。
「???」
何が起きている?
そうか、あの夢に侵入するのが成功したのか。
トントンと、ドアがノックされた。
「アキラ?ちょっといいか」
なるほど。ここはあの男性の夢世界。
「ドア開けるぞ?」
ノックしても返ってこないので諦めて部屋に入ってきたようだ。
男性は入った瞬間目を丸くした。
「誰だ……お前」
「そりゃ知らないだろうな」
思ったよりスッと立ち上がることができた。
何故だ?
俺は腰痛持ち出し、華麗で俊敏さを失った筈。
この世界がどうなってるのか分からない。
気を取り直せ。
第一はこの男を「殺す」事だ。
「お前、なにか悪いことしたか?例えばだな……」
俺がそう言うと少しだけ、男の顔に焦りが現れた。
「な、なんだお前は。何が言いたい!」
「例えばだな……誰かに恨まれることとか」
それは明らかだ。
殺人依頼というのは高確率で恨まれないと起きない。イタズラで起きる事はほぼ無い。
もう少しかまをかけておくか。
せっかくだからどんな反応するか見ておきたい。
この男性は俺を殺さないだろう。
仮に殺し合いになっても、取っ組み合いに発展し、俺が勝つ。
「大木槌 義信 (48)身長173cm 中肉中背 殺人依頼」
「貴方は犯罪を犯したんですよ?分かってますよね。大木槌義信さん」
「な、なぜ知ってる。誰だお前は!!!」
「せめてここで謝って見ればどうです?何の過ちを犯したかをね」
「分かった。言うよ。言う。撃たないでくれ!!!」
急に両手を上げて焦り始めた。
「え?」
気付くと俺の右手には拳銃が握られていた。
何が起きているんだ?
「聞いてやる。お前が何したか。正直に言ったら見逃してやる」
「お、俺は息子を殺した。でも、事故だったんだ!大丈夫だ。処理もちゃんとしてもらったし。」
「理由は?」
「俺は、………」
引き金を引き、銃声が響いた。
懐かしい音だ。




