表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リーネの冒険~異世界の女の子と入れ替わった俺のTS娘生活~  作者: RCAS


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/72

ハルトと娼館へ

 結局、色街をぐるっと回って、飯を食って、酒を少し飲んだだけで帰ってきた。

 風呂で身体の芯まで温まってしまったせいもあって、そのままふかふかの布団に沈んだのは正解だったと思う。


 そんなわけで、翌朝。

 皆で朝飯を食べて、その後は自由行動になった。

 リゼとエステルは二人で買い物に出かけている。

 女向けのアレコレなんて俺には分からないから、同行するのはパスしたのだ。


 今は部屋に戻って、どうしようかとプランを立てている真っ最中。

 でも、やりたいことなんて特にない。

 暇だから色街にでも行って、女でも買うかと思っていると――。


「……やっぱ、今のうちに経験しておくべきか?」


 同じく部屋に残っていたハルトが、ぽつりと口を開いた。


「経験って……女?」

「……おう」


 昨夜、酒の席で少し煽りすぎた自覚がある。

 冒険者なんていつ死ぬか分からない仕事だ。後悔を残すな――みたいな話を、勢いでべらべら喋った。


「いざって時に知らないまま死ぬのが嫌なら、行けばいいよ」

「……真面目な話か?」

「うん、結構真面目だよ。女と違って男は妊娠することがないから、別に躊躇する理由もないしね」


 極論として、男と女の差は妊娠するかしないかだ。

 俺は別に男とアレコレしたいとは思わないけど、一応の興味はある。

 でも、男を知らずに死ぬことに対して、別に全然後悔はないだろう。だって、妊娠したら冒険者ではいられないからな。


 ――でも男は別だ。

 出すだけでいい。そんな低リスクなんだから、やっておいて損はない。

 求道者を目指すなら、女は不純かもしれないけどな。


「リーネが男に興味なさそうなのって、そういう理由か?」

「一部はね。でも本当は、女が好きなんだよ。だから店のことも多少は分かる」

「なるほどなぁ……」


 そこで、ハルトが無言になった。

 何かしら考えて結論を出すだろうから、俺は口を挟まず待つ。

 しばし時間が経過し――ついにハルトが顔を上げた。


「――娼館に行く。付き合ってくれ」


 妙に真っ直ぐな目だった。

 そこまで真剣にならんでも……と思ったが、茶化す場面でもない。


「いいよ。私も娼館巡りの達人ってわけじゃないから、馴染みの店になるけど、それでいいかな?」

「おう、それでいい」


 なら話は早い、さっそく出かけるとしよう。

 昼前ってのは意外と穴場だ。客が少なくて落ち着いてるから、初めてのやつが変に焦ることもない。


「やっぱり、お金を持つようになって気持ちが変わった?」

「まあな。リーネ達とパーティーを組む前は、エステルと二人で貧乏生活だ。女のことを考える余裕なんてなかったよ」


 余裕があるってのはいいことだ。視野が広がる。

 でも、余裕ができた時こそ変な失敗もやらかす。

 だからそんな若者を導くのが、中身おっさんの俺の役目ってやつだ。


「それならこのリーネ様に任せなさい! ハルトを一人前の男にしてあげるよ!」

 

 俺がそう言うと、ハルトは肩の力を抜いたように、わずかに笑った。


「そのセリフだと、今からリーネとヤるみたいじゃないか!」

「言われてみればそうだね。一つ聞くけど、私とヤりたい?」

「言いづらいこと言わせんなよ……行こうぜ」


 そんなゆるい感じで、娼館に向かうことになった。



 

 昼前の色街は、夜とは違う顔をしていた。

 提灯はまだ灯っておらず、通りを歩く人の数も少ない。

 営業している店はあるけど、酒と欲望の匂いは、昨夜より当然ながら薄い。


 その分、建物の古さや、路地の狭さがよく見えた。


「……夜と、だいぶ雰囲気違うな」

「そりゃあね。灯かりのあるなしだけで雰囲気は大きく変わるものさ」


 俺は昨夜と同じ路地を抜け、馴染みの店の前で足を止めた。

 立派な暖簾と、色鮮やかな看板。昨日風呂を借りた娼館だ。

 客引きの娼婦はいないけど、今が営業中であることを扉に掛かったプレートが示していた。


「昨日の店か」

「女の子もいい子が揃っていてね。初心者にもうってつけ。少し高めだけど」


 何を想像したのか知らないが、ハルトの喉がごくりと鳴る。


「ビビってる?」

「そりゃビビるだろ……こちとら初めてなんだ」

「気負わなくてもいいよ。ベテランに任せれば何も問題ないからね」


 俺はいつものように暖簾をくぐり、帳場の前に立った。


「こんにちは」

「あら、昨夜は湯だけで帰ったと思ったら、今度は本番かい」


 女将が、からかうように笑う。


「お嬢ちゃんだけじゃなく、そっちの坊やも客かい?」

「そう。初陣だから、変な無茶はさせないで」

「任せな。うちの子たちは、そういうの慣れてるよ」


 女将はちらりとハルトを見て、目尻を下げた。


「料金は前払い。……そうだね、最初だし、このあたりの子から選びな。うちは面接みたいな真似はなし。札で決めな。外れは出さないよ」


 とん、と帳場の脇の壁を指先で叩く。

 そこには、簡単な紹介札がいくつも掛けられていた。

 名前と、年頃、得意な事という触れ込みが、短く書かれている。


「……この中から、か」


 ハルトが、ごく真面目な顔で札を見比べ始めた。

 目線の動きが、やけにぎこちない。


「なぁ、リーネ」

「うん?」

「こういうの、何を基準に選べばいいんだ?」

「女将がここに出してる時点で外れはないよ。書いてある特徴から、好みの子を選べばいい」


 何人か買ったことがあるけど、外れはなく可愛い子たちだった。

 顔が好みじゃないとか、そういうことは起きないだろう。


「それだけか?」

「それだけ。私も選んじゃおうかな」


 ハルトはまだ時間がかかりそうだ。

 俺もさっさと決めてしまおう。


「女将、私はレナでお願い。これお代ね。ついでにハルトの分も払っておくよ」

「えっ! いいのか?」

「これでもパーティーリーダーだからね。メンバーに奢ってやるのも、リーダーの務めさ」


 部下のために風俗を奢る上司みたいだな。

 まあ、金に使い道があまりないから、こういう時に使うべきだ。


「すまない。でも、まだ決まらないんだよなぁ……」

「まぁ、ゆっくり選んで。女将、私は部屋に行ってるね」

「あいよ。札を持っていきな。お客さんのご案内だよ!」


 ということで、俺は部屋に行くわけだが、ハルトはまだ悩んでいるようだ。

 というか今更だけど、文字を読めるってのは農民の中では上澄みだよな。

 それなりに良い家系だったりしてね。


「先に行ってるよ。終わったら待っているからね」

「……分かった」


 そんなわけで、ハルトと別れて部屋に向かった。

 



 ――事が終わり、待合用の小部屋に通され、俺は一人で腰を下ろした。

 狭い部屋に、低い卓と座布団が二つ。

 卓の上には薄い茶器が置かれ、部屋の隅では香が細い煙を上げている。


「……ふぅ。茶が美味いな」


 湯飲みを指先で転がしながら、俺は小さく息を吐いた。


 ――良かった。大変に満足できた。


 レナちゃんは女も行けるタイプの娼婦で、何度か買っているから顔見知り。

 だから普段からリゼとやっているように、俺だけではなくレナちゃんに対しても『昂揚』を使った。

 結果としては……大満足だ。


 あまりに腰を振り過ぎて疲れがあるけど、それもまた一興。

 悪用じゃないから、別に精神操作を使う罪悪感もなくて実に良し!

 そんな感じでゆっくりしていると、扉が開いた。


「お嬢ちゃん。坊やを返すよ」


 女将の声がして、その背中からひょこっとハルトが顔を出した。

 足取りが若干ふらついて、さらに顔が赤い。どうやら限界までプレイしたようだ。


「面倒見てくれてありがとね」


 俺は立ち上がって、女将に軽く頭を下げる。


「はいよ。追加は取らないから、ゆっくり休んでから出な」


 女将が笑って去っていくと、小部屋には俺とハルトだけが残った。

 しばしの沈黙。どちらからともなく座り直し、向かい合う。


「……で」


 俺は湯飲みを指でつつきながら、真正面から問いかけた。


「どうだった?」


 ハルトはしばらく、言葉を探していた。

 それから、ゆっくりと息を吐く。


「……良かったよ」

「そっか。私も楽しめたよ」

「楽しめたかと言えば……どうなんだろうな?」


 ハルトが難しい顔をしながらそう言った。


「緊張して、最初は何話していいかも分かんなくて……でも向こうが色々しゃべってくれてさ」


 ハルトは苦笑する。


「それで本番に行くわけだけど……そこからは必死だったよ」


 何が必死かは分からないけど、概ね理解はできる。初めて遊ぶなら、そんなもんだろう。


「最初はそんなもんさ。でも、来て良かったでしょ?」

「うん……確かにこれは知っておく価値はあった。そう思う」


 ハルトは真面目な顔になり、俺に顔を向ける。


「……ありがとな、リーネ。付き合ってくれて」

「どういたしまして。男として一皮むけるのを手伝えて、光栄だね」

「光栄ってなんだよ」


 お互い笑いあいながら娼館を後にする。

 女遊びをして友好を深めるってのは、男としては普遍的なやり方だろう。

 俺は今は女だけど、それでもこういうことが出来たというのは、まだまだ俺は男であるという証明なのかもしれないな。


 それはそうと、エステルとも遊びたいんだよな。体は貧相だが、顔は実に好み。

 乙女を自分の欲望で塗りつぶしたいという欲求もある。

 でも、それには口説く必要がある。なかなか難しいか?

 

 まあ、それはおいおい――。

 今日のところは、ハルトと遊びまわるとするか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ