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リーネの冒険~異世界の女の子と入れ替わった俺のTS娘生活~  作者: RCAS


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リゼを返り討ち

 受付カウンターに近づいた瞬間、ボルクが帳面から顔を上げた。


「討伐完了か? 今日は一人みたいだが」

「トビーは蒸し風呂へ直行して、そのまま寝るってさ。リゼは先に宿に戻ったよ。今日はこれから稽古をする予定だから、その準備」

「で、トビーとはどうだ? 討伐依頼にはいつも連れていっているようだが、稼ぎが良いだろう?」


 稼ぎが良いなんてレベルじゃない。

 このペースで回せば、グレインフォールに定住できるだけの資金が数か月で貯まる。


「ボルクさんには感謝してるよ。トビーと組み始めてまだ一週間だけど、好きなときに休めるだけの貯蓄がある」

「それは重畳。確か、一ヶ月を目安に実家に報告するんだったな? 今後も冒険者を続けるってんなら、ギルドとしては歓迎さ」

「ギルドから評価されているってのは嬉しいね。帰った時には、そう両親に報告しようかな」


 討伐証明の木札を差し出す。

 ボルクは慣れた手付きで帳面に印をつけ、銀貨と小銀をジャラリとテーブルに積み上げた。


「ほらよ。この調子で頑張って貰えば森も安定する。最近は魔獣の数が多いからな」


 その言葉に、俺は少し眉を寄せた。

 この一週間、それほど森の深部までは潜っていない。

 なのに妙にエンカウント率が高い。俺たちだけの肌感覚かと思っていたが、ギルド側も同じ認識のようだ。

 

「やっぱりギルドでもそう認識しているの? 私たちは新人だから、これが例年通りなのか異常なのか判断がつかなくて」

「去年よりは明らかに多い。だが、多すぎるってほどじゃねえ」

「なら今が稼ぎ時かな? 素材はダブついても、討伐報酬は変わらないでしょ」

 

 トビーには悪いが、魔獣が増えるなら討伐報酬で稼げる冒険者が有利だ。

 討伐が追い付かなければ、報酬の吊り上げも期待できる。

 ま、増えすぎてギルドの処理能力が崩壊したら元も子もないけどな。


「どんどん討伐を続けて貰えるとギルドとしては有難いぜ。街道まで魔獣があふれ出すとまずいからな」

「ギルドの期待に応えられるよう、頑張るよ」


 優等生的な回答を残し、俺はギルドを後にした。

 懐には重みのある銀貨。未来への展望も明るい。

 順調――実に順調だ。



 

 三羽雀亭に戻り、リゼと稽古を開始する。

 稽古は休憩時間を入れつつ、夕暮れまで行う。

 街の建物に灯りがともり始める頃が、俺たちの稽古の終了の合図だった。


「今日も精が出ていたようだね」


 扉をくぐり宿に入ると、カウンターの向こうでマルタがにこやかに笑いかけた。

 

「うるさくなかった?」

「うちは日が暮れてからが本番さ。それまでに終わらせてくれれば問題ないよ」


 なら良かった。

 好意で庭を使わせて貰っている手前、迷惑をかけるわけにはいかない。


「窓から稽古風景を見させてもらったけど、若い時を思い出すねぇ」

「マルタさんだって若いでしょ? リゼの少し上って聞いてるけど」

「生き方の問題さ。剣を振っていた時とは違う……リゼと私は、もう違う道を歩いているのさ」


 マルタの言葉には、どこか懐かしむような響きがあった。

 詳しくは知らないし、知る必要もない。

 ここで宿屋の女将としてサービスを提供してくれれば、別にいいからな。


「そんなことより、お腹空いちゃった。夕食をお願いできる?」

「用意はできているさ。すぐに配膳するよ。お湯も用意しておくから、部屋に帰る時に持っていきな」

「感謝します、マルタ」

「長期滞在のお得意様となれば、それくらいするさ」


 リゼの感謝を仕事だと言い切るが、マルタは照れ臭そうに対応していた。

 この二人の仲を詳しくは知らないけど、それなりに深い関係というのは分かる。


 ただ、そんなことよりも食事が大切。

 配膳された夕食はパンとスープという代り映えしないものがけど、食事のランクは上げてもらっている。

 臭い魔獣肉ではなく、牧場直送の牛肉や豚肉だ。

 

 お高いだけあって美味い。

 日本で食べる肉よりかは粗雑な味だが、魔獣肉と比べたら天と地だ。

 始めて食べた時は無言でスプーンを動かす人形になっていたっけな。


「ご馳走様。部屋に戻るよ」

「少し待ってな。お湯と石鹸を用意するから」

 

 胃袋を満たし、言われた通りにお湯の入った桶と石鹸を持ち帰る。

 二階の部屋へ向かい、扉を開ける。

 リゼが床にお湯の入った桶を置いた。俺はその脇に石鹸と体を拭く布が入った桶を置く。


「体を拭いて早く休もう。明日は休日の予定だけど、何もないなら稽古でもすればいいしな」

「……そうですね」


 リゼは同意するが、反応がどこか重い。

 それを気にかけることなく、服を脱いで裸になる。


「ほら、リゼも脱ぎなよ」

「……ええ」


 一見、無表情を装っているリゼ。だが、その視線は雄弁だった。

 俺の白い肌を、まるで獲物を狙う獣のように見つめている。

 毎晩、精神操作でタガを緩め続けてきた結果がこれだ。性欲を持て余した思春期の男子中学生みたいな目つきだな。

 

 これは、リゼの理性も今日で決壊か?

 そんなことを考えながら、お湯を含ませた布で体を丹念に拭いていく。

 一日の汗と汚れが落ちていく感覚は心地よい。だけど、本音を言えば足を伸ばして湯船に浸かりたい。

 

 でも、それはまたの機会。お楽しみはまた後だ。

 自分で拭けるところを拭いたら、次は背中となる。

 これはリゼにやってもらう必要があるし、その逆もまた然り。


「……背中を、失礼します」

「頼む。終わったら次はリゼの番だ」


 布を湯に浸す音と、絞る音が背後から聞こえてくる。

 温かい布が、俺の肩にそっと置かれる。慎重で、どこか探るような指先の動き。

 ゆっくりと、しかし確かな熱を帯びて、布が背中を滑り落ちていく。


 何度か往復して背中が綺麗になったら交代だ。

 今度は俺がリゼの背中を拭く番となる。鍛え上げられているが、女性らしい滑らかさを残した背中でもある。

 それを綺麗に拭いていき、今日の風呂はこれで終わりだ。


「終わったよ。着替えて寝ようか」


 体を拭き終わり、下着に手を伸ばそうとした――その時だった。

 

「……今日は、その。私のお願いを、聞いてもらえないでしょうか?」


 リゼが、震える声で切り出した。

 お互いに一糸まとわぬ姿。湯冷めしそうな空気の中で、懇願するように。

 

 この反応……ついに来たか?


「リゼ?」


 名を呼んでも返事はない。ただ、目が合う。

 それは真っ直ぐで、逃げ場のない、切羽詰まった視線だった。

 リゼは何かを言おうとして、言葉を喉に詰まらせ、それでも必死に紡ぎ出す。


「嫌なら、嫌と言ってください。その時はすぐに止めます。だから……今は……」


 言い終わる前に、リゼが一歩踏み出してきた。

 俺の肩に手が置かれ、ぐっと力が込められる。

 抗うまでもなく、俺はそのままベッドに押し倒された。

 

 視界が反転し、天井の木目が目に入る。

 覆いかぶさるリゼの顔は真っ赤で、吐息が掛かる距離まで近づいてくる。

 俺はそれを拒絶することなく、受け入れるためにゆっくりと目を瞑った。


 ほう、とリゼが熱い息を漏らす。

 受け入れられたという安堵。そして、これから行われる行為への期待だろう。


 ――だが、リゼは勘違いをしている。


 俺がリゼを受け入れるんじゃない。リゼが俺を受け入れるんだ。

 欲望を精神操作で増幅されたとはいえ、最後の一線を超えて手を出したのはリゼの方。

 ならば、遠慮はいらない。溜まりに溜まった性欲の全てを、今日は完全に開放させてもらう。

 

 さあリゼ――今日は俺を、たっぷりと楽しませてくれよ?




 翌朝。

 目を覚ました時、天井の木目がやけに鮮明に見えた。

 体は鉛のように重く、節々が気怠い。だというのに、頭だけは奇妙なほど冴えわたっている。


 ――やりすぎたな。まさか朝まで連戦になるとは。


 心の中で苦笑しながら隣を見ると、ベッドの端でリゼが丸くなっていた。

 髪はぼさぼさ。普段の凛とした騎士の面影はどこにもない。

 事後の余韻と羞恥にまみれ、守ってやらなくてはならない小動物のように震えている。


「……私は騎士なのに」


 蚊の鳴くような声が漏れる。

 甘えるように身を寄せてきて、真っ赤な顔を俺の胸に埋めた。

 

「リーネに、あんなこと……」


 そこで言葉が続かなくなる。

 あまりに情けない、けれど愛おしい姿になり果てたリゼの肩を抱き寄せる。

 自然と、口元が歪むのを自覚した。


 ――ふん、小娘が。俺をメス堕ちさせるには、十年早いんだよ。


 俺の女の子歴はまだ一年ちょい。

 だが、夜の営みの経験値という点では、リゼとは年季が違う。

 素人と玄人を問わなければという注釈は付くが、女性経験は俺の方が上だ。

 

 しかも精神操作が俺にはある。リゼに負ける要素は一欠片もない。

 いやー、実に楽しめた。自分勝手な採点をするなら、昨夜のリゼは余裕の満点越えだ。

 女としての肉体的な快楽も、男としての精神的な充足感も、骨の髄まで味わわせてもらった。


 ――まさに、ご馳走様ってとこだな。


 精神操作でリゼの理性のタガを緩めたのは事実だ。魔法がなければ、彼女はこんな暴挙に出なかったかもしれない。

 だが、理性の蓋を自らの手でこじ開けたのは、間違いなくリゼ自身。

 俺の魔法は、心を完全に操ることはできない。ただ、背中を押し、方向性を示し、欲望を増幅させるだけ。

 

 そんな理論武装は、自分の罪悪感を薄めるための屁理屈だとは分かっている。

 でも、そんな理屈屋の自分であることは嫌いじゃない。


「こうなったら今日は休みだな。ゆっくりしよう。というか――どうせなら色街にでも繰り出すか? 俺はまだ余裕があるけど」


 わざとらしく耳元で囁くと、リゼはビクリと肩を震わせた。

 俺の胸に埋めていた顔をばっと上げ、涙目の真っ赤な顔で、コクコクと何度も頷く。


「お願い……します……」

 

 精神操作はすでに切れている。これは、素のリゼの反応だ。

 ……完全に堕ちたな。

 その反応を見て、俺はニヤリと笑った。


 リゼが怯えるような、それでいて期待に濡れた情けない顔を俺に向けてくる。

 その表情が、たまらなく嗜虐心をそそる。


「そっか。じゃあ、今日はとことんまで付き合ってもらおうか」


 リゼ攻略――完了!

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