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総文祭 予選リーグ抽選会② 一番人気は光輝?

 光輝(みつき)の抽選の前に滋賀代表の馬場(ばんば)高校・百合澤悠斗も例によって、打倒・大阪府チーム、光輝をあげたが、


「滋賀代表、27番!」


 百合澤が番号をあげると、滋賀チームの列から「うわー!」という悲鳴が上がった。強豪県・静岡がいる同じグループと当たってしまったのだ。大阪の光輝と対戦したいチームは多数だが、そもそもチームとして強敵なのは静岡、福井、東京などのかるたが盛んで強豪校が集まった地区で、こちらは純粋に予選から当たりたくないといえる。

 京都はシードチームで先に抽選を終えたため、滋賀の次に満を持して、今大会、最注目のチームと言える大阪代表の抽選に入る。光輝が抽選箱に手を入れ、番号札を取り出した。


「大阪代表、18番です!」


 この瞬間、「オォー!」というどよめきがあがった。シードチームは入っていないが、先に引いた伊藤大地のいる北海道が17番、上村擁する宮城県が20番を引いており、同じEブロックに入った。上村がリベンジ宣言をしただけに客席も関係ないチームもざわついていた。

 そして、近畿地区の抽選が終わり、中国地区に移り、岡山、広島、鳥取、島根と抽選をしていき、当地区、最後の砦は山口県。もちろん、抽選のカードを引くのは山口代表の主将である桜光女学園・一色千里。仲田も彼女に「どこと対戦したいか?」と同様の質問をする。


「大阪代表です。あたしがこの大会に参加したのも四条くんと取りたいからといっても過言ではないので」


「それは高校選手権の個人戦で敗れたからですか? それとも、クイーンに勝った選手だからですか?」


「どちらでもないです。あたしはそんなこと関係なく、四条くんという選手と取りたいんです」


 そう言い切った千里が抽選箱の中に手を入れて、ごそごそと念入りに探りながらカードを引き出す。その番号を見て、光輝の方を向き、にまーっと笑う。光輝はその瞬間、背筋に冷たいものが走った。


「山口代表、19番でーす!」


 19番ということは大阪、宮城、北海道と同組のグループに入った。これで、Eグループは埋まった。見事に全員が打倒・光輝を掲げたところだ。


「いやー、宣言通り、大阪代表と同じ組を引き当てました!」


 仲田がこのように煽ると、場も拍手が巻き起こり、大いに盛り上がる。なんか、変な盛り上がりを見せる会場に光輝は引くに引けない空気に戸惑うばかりである。そこに抽選を終えた千里が通りがかり、ムフフっという憎たらしい笑顔を向けながら、光輝のもとへと近づき、ガシッと両肩を掴む。


「四条くぅ~ん。また、試合しよ~ね~? 絶対、しよ~ね~?」


「ははは、やなこった」


 千里は憎たらしい笑顔を浮かべたまま、圧のかかるトーンで光輝に問いかけると、それに対して、彼はややドン引きしつつも憎まれ口で返した。


「まったく、ここまでくると、俺、なんか、お前に恨みでも買うようなことでもあったかとすら思うんだけど……」


「恨みではないけど、なんか、スッキリしないものはあるからねー」


 千里はそう言い残して、自分の立ち位置へと戻った。その場で立ち尽くす光輝は今の彼女の一言にきょとんとするが、これもなにしたのか自覚がない。ただ、これらのやり取りを見た他の主将や周りは盛り上がっており、隣の滋賀代表の百合澤からは「お前、モテモテやな」と茶化される始末だ。


「いや、こんなモテ方、勘弁してほしいんだが」


 と、光輝は贅沢な自虐で返した。


「でも、百合澤のとこも静岡当たったやん」


 こういったのは奈良代表の主将の尾崎直人。それに対し、百合澤は「そうなんだよなー」とガックシと肩を落とす。そのやり取りの中で近畿地区の代表チームの主将たちとの間では自然と笑い合える雰囲気ができあがっていた。

 近畿地区だけではなく、抽選が進んでいくうち、待ち時間の間に隣県同士の主将が話し合う光景がちらほら出始めている。あの気難しい千里ですら、かるたの話題になれば、それなりにはしゃべれる。

 なお、光輝の話題ともなれば、早口で口数も増える模様。

 仲田もそれを見て、そういう空気が出てきた状況を喜ばしく思う。


「チッ……」


 ただ、この状況をつまらなさそうに見ていたのが東京代表の石崎だった。前年優勝チームである東京の主将として、目標にされるチームとして名前があがらなかったこと、今年になってポッと出てきたA級選手がちやほやされている状況が気に入らなかった。そして、なによりも気に入らなかったのが光輝がさやかに勝ったこと。


(なぜなんだ…………? なぜ、俺はこんなに四条のことが気に入らないんだ?)


 もちろん、石崎も光輝の強さそのものは認めている。だが、光輝が目黒さやかに勝ったことが認められない、そのいらいらの正体がわからなかった。

 そんな様々な思惑や思いを抱えながら、本番の前哨戦ともいえる組み合わせ抽選会を終えた。

校名や名前を考えるのがだんだん大変になってきました。

あと、今大会の47都道府県のチーム分、実際に抽選を行いました。

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