総文祭 予選リーグ抽選会① 一番人気は光輝?
場が暖まってきたところで、再び都道府県ごとに整列し、いよいよ、本番である総文祭小倉百人一首かるた部門の予選リーグの抽選が行われる。
抽選はまず、前年の8強チームである東京、京都、福井、静岡、千葉、神奈川、福岡、宮崎をシードとし、ここだけグループリーグ予選に当たらないように振り分けられていく。そして、残った39道府県を北から順に各都道府県の代表の主将が引いていき、引かれた番号に充てられたところに入るという方式だ。
なので、強化練習で結姫が心配していた福井、静岡、東京といった強豪チームに予選リーグから一斉に囲まれるという事態はない。
さて、抽選が始まったのだが、ここでも司会と進行役を務める実行委員長の仲田が抽選番号のカードを引く前に「対戦したい相手や都道府県は?」と聞いてくるのだ。
東京代表の成光・石崎良太は「特にない。前年、優勝チームとして連覇を狙うのみ」と意に介さなかったが、静岡代表の二木学園・獅子崎里華子は、
「大阪府チームですわ。先日の高校選手権の個人戦では四条君にコテンパンにやられましたの。そのリベンジですわ!」
と、言えば、京都、福井、神奈川の主将も大阪府チームというより、四条光輝という選手と対決したいという風に答える。
シードチームの振り分けが終わり、シードチーム以外の抽選が始まる。壇上にそれぞれ、主将が集まる。最初に引いた北海道代表の伊藤大地も仲田の質問に対し、「大阪府チーム。クイーンに勝利した四条君と対決したい」と答えた。
宮城代表の上村望は高校選手権の個人戦の準々決勝で当たったこともあり、
「大阪府チームと当たりたいです。静岡の獅子崎さんと同じく、自分も高校選手権の個人戦で四条君に負けたので、できれば、直接対決してリベンジしたいと思っています」
と、リベンジ宣言で場が非常に盛り上がる。
「クイーンに勝った大阪の高校生が話題になっているようだが、その一度限りの祭りもこれっきりだ! チームとしても、個人としても埼玉・星央高校の相羽世那ありという試合を見せてやるよ!」
そう言って、ふあさーと前髪をかきあげる仕草で決めると、観客席から「相羽センパーイ!」という黄色い声援が飛ぶ。部員60人の大所帯のエースだけあって、部内においてはカリスマ性の高い人物のようだ。
ここまで、半分以上の選手が今大会で対戦したい相手に大阪代表というよりは打倒・光輝を宣言する者が多い。チームとしては前年王者の東京代表はスルーされており、石崎はやや不満げである。
この現状に光輝は「まいったなぁ……」と頭を掻く。そういえば、結姫からは「そろそろ、自分の立ち位置を自覚しないとね」と言われたが、今、それを身に染みて、実感している。A級で優勝すること、さらにクイーンのさやかに勝ったことで否が応でも相手はバチバチに意識してくる。
父・悟からも『自分ではコントロールできないことだから、気にするなって言いたいところだが、まず無理だろう』って言われたが、これもその通りだ。光輝自身は謙虚に振舞っても、周りがそうはさせない。光輝はこの流れに辟易し始めていた。




