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総文祭 開会セレモニー&交流会②

 その間、別のグループを見渡すと、仙崎や他の3年生組は和気藹々と初対面の人らも会話で盛り上がっている。一方で森田は緊張してるのか、人見知りを発動してるのか、手持ち無沙汰な感じになっている。あるいはりんくう佐野ウイングという校名を言いたくないのか……

 大阪以外ではというと、光輝(みつき)とは別グループになった千里は必要以上の自己紹介や会話はせず、塩対応に務めて、つまらなさそうに過ごしている。また、ルックスはアイドル並にいいので、男子選手が放っておかないのだが、軽くあしらっているようだ。


(あいつ、普段は気難しいって本当なんだな……)


 光輝は今の千里が自分と接してる時の彼女からは想像できない姿に映った。ただ、結姫(ゆき)曰く、普段の彼女はこんな感じで接しづらい雰囲気を纏っているらしい。実際、結姫本人も高校選手権の時に初めて会話して、イメージががらりと変わったという。

 ただ、それを見て、光輝はなぜ、自分がそれほど執着されるのか、余計にわからなくなっていた。千里はさやかに勝つ前から光輝へのかるたのこだわりは強かった。いくら、小学校時代の強さに強烈な印象が残ってたとしても度が過ぎる。

 そもそも、男子高校生として見るなら、光輝よりもハイスペックな男子はこの会場内だけでも数多い。光輝は学力も全国的に見れば並以下で、インドアでソシャゲ中毒のコミュ障、ルックスも並以下と女子高生がときめく要素がほぼないと自覚している。


「謎だ…………」


 そんな自分になぜ、千里が自分にあれだけ好んで絡んでくるのか。光輝は振り返れば振り返るほど、ますます解せなかった。

 交流会はその後も盛り上がりを見せ、かるたや岐阜の歴史、文学にちなんだクイズ大会の後に最後はじゃんけん大会で決着をつけるという運びになった。クイズはけっこうマニアックな問題もあったのだが、そこは地頭のいい人や変人が揃うかるた界の世界。最後まで脱落しないチームが出るのも織り込み済みだ。


「さぁ、残ったのは鵜チームと金華山チームですね。最後にじゃんけんで勝負する人、立ってくださ~い!」


 光輝のいる鵜チームからは全員から担ぎ上げられて、光輝が立ち上がった。


「鵜チームは大阪代表の主将の四条君ですねー。ご存じの人も多いと思うんですけど、この前の高校選手権の個人戦のA級決勝で目黒さやかクイーンに勝って、優勝した人ですねー!」


 仲田から大層に紹介されて、「おぉー!」というどよめきが巻き起こり、光輝は恐縮ですとばかりに苦笑いしつつ、全周囲に頭を下げる。


「対する金華山チームは…………」


「ハーイ! あたしでーす!」


 ぶんぶんっと手を振りながら、スッと立ち上がったのは一色千里。赤茶色っぽいセミロングの髪をかき分けつつ、光輝を見据える。


「おっとー! 金華山チームからは山口代表のこちらも主将の一色さんですね! 実はこの人も高校選手権の個人戦の準決勝で四条君と対決してますね」


「ここで会ったが100年目ってやつね」


 仲田からそう紹介されて、千里が不敵な笑みを浮かべながら、光輝に向けて口を開いた。光輝はそれに対し、リアクションに困り、肩をすくめた。


「今年の高校選手権の個人戦、決勝戦の印象が強いと思うんですけど、私、個人的に準決勝の四条君と一色さんの試合は隠れた名勝負だったと思うんですよねー」


「へぇー、よく、わかってるじゃない?」


 これには光輝も納得だ。不思議な力がはたらいたさやかとの決勝戦と違い、千里との試合は今持てる力をぶつけ合ったガチンコの勝負だった。光輝自身もここ数年で一番、楽しい試合だったと思っている。


「そんな対決がこの交流会におけるじゃんけん大会で実現するなんて、思わなかったですけど…………じゃあ、早速、始めましょう!」


 光輝と千里はお互いに右手を隠す仕草をして、


「じゃーん、けーん、ぽん!」


 仲田のじゃんけんの合図とともに手が出される。光輝がグー、千里がチョキを出していた。


「ということで、四条君の勝ちです。優勝は、鵜チームの皆さんでした~!!」


 パチパチパチパチ! と参加者や観客から拍手が巻き起こった。


「最後まで残った金華山チームの皆さんにも拍手をお送りください!」


 千里のいる金華山チームにも鵜チームに劣らない盛大な拍手が送られる。ただ、じゃんけんでも負けた千里はガックシと肩を落とし、まだ少し悔しそうな表情をしていた。

 さらに各チームの付き添いの役員から、それぞれ、景品がプレゼントされる。ゲームは時間稼ぎや交流のためで、コンセプトとしては参加者全員が優勝という形に収めた。なにせ、本当の勝負はこれからなのだから。

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