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総文祭大阪選抜チーム 強化練習3日目②続・札合わせについて教わる

50(フィフティー)50(フィフティー)だから、絶対に勝てるってわけじゃないし、場合によっては2敗するリスクもある作戦なのは注意ね。逆にこっちが1勝だけすればいい場合は持ち札を揃えないように二人で分ける。これを札分け、札クロスともいうわね」


と、結姫(ゆき)が森田に対して、続けて懸念点と逆に1勝でいい場面についての対処法も説明する。


「ゆき(ねえ)、質問」


 このタイミングで光輝(みつき)が手を上げて声をあげる。


「なーに? お姉ちゃんに聞いてごらん?」


 結姫はにやにやといたずらっ子のような笑みを浮かべて言う。


「余計なことはいい。今みたいに隣だったら、そっちの札がどうなってるか見えるけど、端っこ同士だったらどうすんだよ?」


「あ、それはあーしも気になってました」


「それ、気になるわよね。露骨に札の位置とか、決まり字がどうなってるとかを教える行為は禁止されてるから、なんらかのサインや合図を出して教えるんだけど…………これは一朝一夕では教えられないわね。たぶん、春日山とかはそういう独自のやり方あると思うんだけど、さすがに企業秘密だから教えるわけにもいかないでしょうしね」


 と、結姫が後藤先生の方へ向いて言うと、後藤先生は苦笑いで返す。


「私はたとえば、『むらさめの』を右下段に移動しますって札と位置を聞こえるように言って、移動して場所を知らせたりしてたけど、今はそれも禁止行為になってるみたいだからね」


「じゃあ、あーしらがやるのは難しいじゃないんですか?」


「そうね。だから、私は今、団体戦やるなら、できる人は札合わせは勝手にやってねっていうスタンスかな。正直、みーくんと森田さんも変に意識して取りが崩れるぐらいなら、下手に触らない方が無難だと思うわ」


「えー、じゃあ、なんで、わざわざ教えたんだよ」


「二人には知識の一つとして、こういうのがあるってことを知ってほしくてね。少なくとも相手チームの中にはやってくるところもあるだろうし……」


「あー、なるほどなー」


 と、光輝が納得して言う。


「まぁ、みーくんは札合わせが必要な状況になる前に勝負付けそうだけどね」


 今回の強化練習の結果を見ても、大抵の相手ならほぼ大差で勝つだろうと森田もうんうん、と頷いて納得の様子。

 光輝本人はむぅっとして、少し釈然としなかった。


「あっ、そういや、札合わせの伝達方法って、こういうのはアリか?」


 と、思い返したように言う。


「こういうのって、どういうの?」


 結姫は光輝の提案に質問で返し、


「ゆき姉、少し離れた位置に座ってくれ。できれば、端と端ぐらいか」


 と、光輝に言われ、結姫は少し離れた位置に横並びに座る。


 スパァーンッ!!


 光輝が切り裂くように払い飛ばした札はレーザービームのような速さでダイレクトに結姫の前にダイレクトに着地した。


「素振りの際にミスって飛ばしたって感じでその札を見てもらって知らせるのはどうかな?」


 光輝は手で銃を作り、バーンっていうアクションを起こしつつ決め顔で言うが、


「それ、狙ってできるのみーくんだけでしょ。それにあからさまにそればっかりやってると、素振りの段階で…………注意されるわよっ!」


 結姫がそう言って、パァーン! っと、光輝が飛ばしてきた札を同じように払い飛ばして返す。

 サッカーのパスや野球のキャッチボールの要領で札を払い飛ばし合う二人を見て、「こいつら、札を飛ばす位置までコントロールできんのかよ……」と技術の精度の高さに戦慄するのだった。

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