総文祭大阪選抜チーム 強化練習開始!④
気を取り直した殿山がすぅーっと息を吸うと、
「なにわずにーーー、さくやこのはなーーー、ふゆごもーーりーーー……」
再び序歌が読まれ始めた。
「お、大阪ファイトー!」
「ファイトォ――!!」
殿山が次の「いまをはるべと咲くやこの花」と読もうとしたタイミングで、光輝が少したどたどしく、かけ声を言うと、他のメンバーもその声に応える形で「ファイトォーー!!」って叫んでくれた。
(まぁ、ちょっと、小さいけど、今日はこれぐらいでいいかな)
結姫はもう少し元気が欲しいなーと思いながらも、今の光輝にはこれが精いっぱいだろうと、妥協することにした。
「いまをーー、はるべとーー、さくやこのーーはなーーーー」
余韻3秒の後に空白1秒、
「ちぎりおきしー」
ダダダダダッ!! という音が室内に鳴り響く。最初の出札だけあって、雑に払い飛ばす選手が多い中、静かに自陣の右上段の出札だけを綺麗にスパッと切り裂くように払いとったのは光輝。出だしは順調だ。
「くっ」
仙崎は手を伸ばすも的確に出札だけ上手く払い飛ばされるのを目の前で見せられるだけだった。
「なつのよはー」
スパーンッ!
光輝はこれまた、自陣左中段の出札を払い飛ばす。豪快な攻めが持ち味の仙崎だが、その、持ち味を光輝相手に発揮できない。
「たごのうらにー」
ダァーン!!
光輝は少し身を乗り出して、仙崎の陣の右下段に切り込んで出札を払い飛ばした。団体戦のリズムにマインドは崩されてはいるものの、いつも通り、縦横無尽にコントロールよく出札に対して、素早く反応して手が伸びている。殿山の読みの波長にも最初から適応できているためか、普段の力が出せている。
(やべー、これがA級で優勝するヤツのかるたか。まるで、取れる気せーへん…………!)
素直に光輝の実力を認めてはいたものの、この日、実際に相対すると、その実力は想像以上だった。
実は仙崎自身もあれから急成長を遂げていると評判なのだが……
(しかも、光輝のヤツ、3か月前よりも凄みが増してるやんけ…………)
だが、光輝はそれを上回る速度で成長していた。
日々の練習の賜物か、A級で勝負になるほどの実力と自信を身に着けた光輝には風格とオーラが備わっていた。
光輝も舞と初めて試合した時に畏怖した威圧感のようなプレッシャーを放つ選手になっていたのだ。
(だけど、いい機会や。こんな相手と対戦できることなんて、滅多にないからな! どうせ、勝てへんし、最後の1枚まで俺の取りを貫き通すだけや!)
しかし、仙崎は怯むことなく、光輝に向かっていった。光輝も真っ向から向かってくる仙崎の取りを受けつつ、試合を進めていった。
試合は結局、光輝が16枚差で勝利。総文祭の選考会の時は19枚差で、一見、差は縮まったように思える。しかし、この時は光輝が粗い試合運びをしたことによって生じた大差勝ちだった。
トーナメントの勝ち方を覚えた光輝は慣れない団体戦の空気の中、無理なく取って試合を進めた。仙崎には枚数差以上に差を感じた試合となったが、それでも満足のいく取り札もあり、それ以上に手ごたえのようなものも感じた。
2試合目は主なところでは光輝が桜女・山本を21枚差、仙崎が森田を10枚差と順当に下したという感じだ。D級同士の対決は実力が拮抗しているという感じの結果となった。初日は2試合だけで終わり、解散となった。あと、2日間、会場を春日山に変えて、それぞれ4試合、合計8試合行う予定だ。




