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総文祭大阪選抜チーム 強化練習開始!②

 ところで、今回の大阪のメンバー構成は以下のようになっている。学校横の数字は学年。


 監督兼引率 後藤克也(春日山高校)

 主将 四条光輝(翔国高校③・A級四段)

 副将 仙崎拓也(春日山高校③・B級三段)

 三将 山本渚(桜花女子高校③・C級二段)

 四将 渡辺亜美(金城大付属高校③・D級初段)

 五将 荻野真美(春日山高校②・D級初段)

 六将 高山愛(桜花女子高校③・D級初段)

 七将 森田奈月(りんくう佐野ウイング高校②・C級二段)

 八将 才木恵(金城大付属高校①・D級初段)

 読手コンクール 殿山三枝(桜花女子高校③・D級初段)


 実はついこのほど、光輝(みつき)に四段(ついでに三段も)の免状が届き、これで出場級だけでなく、正真正銘のA級選手となった。なので、もう“元”無段の男となったが、すでに段なしの選手とは思えない強さは周知されているので、誰も驚きはしないだろう。

 さて、各々の自己紹介が終わり、早速、練習が始まる。監督役の後藤先生だが、どうも練習やその組み合わせの段取りは結姫(ゆき)に一任しているようだ。

 実際、結姫の高校時代の経験や実績を鑑みてもベターな判断だろう。彼女自身もそういう役割なんだと自覚してるから、スムーズに練習が進む。


「じゃあ、早速、試合しましょうか。組み合わせだけど、まずはみーくんと春日山の仙崎君ね」


 光輝が「ん」と軽く返事すると、仙崎は「うす!」と気合を入れて、返事をする。


「よろしくな、光輝! 俺じゃ、練習にならんやろうけどな」


 早速、下の名前で呼ぶ仙崎。


「そう言うなよ。仙崎ももうすぐA級ってところまで来てるんだろ? あの時よりも強くなってるって後藤先生が言ってたぜ」


 そういうやり取りをしながら、席に着く二人の様子を見て、結姫はニコニコと微笑む。仙崎の成長ももちろんだが、光輝が他人の頑張りや長所を認め、それを尊重する気遣いができるようになったのが喜ばしい。

 それができるようになったのもひとえにかささぎ橋で子どもたちやおばちゃんとかに一からかるたを教えた経験が大きい。かるたの表舞台から離れたことで一歩後ろから相手を見る視点も得た。

 きっと、あのまま天才小学生と呼ばれたまま、自分本位でかるたを続けていたら、今の境地には至らず、傲慢なまま気づきも得られなかっただろう。かるたの表舞台から遠ざかっていた日々も決して無駄ではなかったと結姫は思うのだった。


「それから、C級に上がったばかりの2人にやってもらおうかな。桜女(おうじょ)の山本さんとえーっと…………りんくう佐野ウイングの森田さん」


「もう、花山さん、普通にサノコーって略してくださいよ!」


 桜花女子は桜女と略したのに森田の高校はフルネームで言ってしまった結姫に彼女が過剰に訴えた。


「ごめん、ごめん」


 ぺろっと舌を出して、軽く謝る結姫。その様子に室内は笑い声が響き、和やかな空気になる。

 ちなみにこの森田の高校であるりんくう佐野ウイング高校は統廃合によって開校した経緯がある。ただ、一時期、大阪府内の公立校の統廃合が進んだ時にできた新設校のネーミングセンスがとてつもなくぶっ飛んでいた時代があった。森田の通う高校もそのうちの一つで、彼女のように校名にコンプレックスを持っている者も多い。

 しかも、地区では比較的、進学実績がマシなため、勉強も頑張れる公立校となれば、自然と選択肢がここしかなくなるのも性質が悪い。

 その一方でネタとして周知されてるのも確か。そして、森田のサノコーにはかるた部はなく、光輝と同様、高校の部活動に所属をしていないメンバーだ。今、高校の名前ネタで森田の周りには輪ができていた。

 総文祭は各高校から集められた選抜メンバーゆえに急造チームである。そのため、高校同士でつるみがちになり個人勢は孤立することもある。だが、森田は大阪選抜メンバーとして溶け込みつつある。

 結姫が森田の高校をフルネームで呼んだのも、それを狙った節がある。

 そして、様々な狙いがある中、残りの試合の組み合わせも決めていく。メンバーは8人だが、サポートメンバーとして金城大付の2年生以下の部員も何名かが普段の部活の延長で時には試合相手として組まれる手筈となっている。殿山も喉の保護のため、ずっと読手ばかりをしているわけにもいかないので、こちらも読手に入らない時は選手として試合をする。


「ゆき(ねえ)は取らねーの?」


「うん、今日はみんなの試合を見ておこうかなって」


 もちろん、結姫も指導役として時には練習相手になる予定だが、初日の今日はメンバーの実力の把握に務めることに専念する。そして、短期間の間でこの急造チーム全体の方向性を考えていくわけだ。


「それに私はあとで、ね?」


「あ、あぁ……」


 結姫が光輝の方を向き、ウインクしながら意味深なことを告げるが、光輝は「帰った後も取るのか……」とため息をついて、今日もハードな日になりそうだなと覚悟するのだった。

七将の森田の下の名前はかなり二転三転しました。

最初はモブっぽい名前にしたのですが、書いてるうちにキャラが立ってきて、「つばさ」という名前にしたのですが、同姓同名の選手が実在したので無難に今の名前にしました。

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