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俺は無段のかるた選手だったが、何年もクイーン候補の幼なじみとの練習に付き合ってたら、いつの間にか有段者相手に無双するどころか名人級の選手になっていた  作者: かるたー
俺は無段のかるた選手。初出場した高校選手権で無双して、無敵の現役女子高生クイーンにも勝利してしまう
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高校選手権個人戦A級決勝 光輝VS.目黒クイーン⑧ ついに決着! 運命を切り拓く1枚を取ったのは……

 感じや払いが安定している両者だけあって、空札にはぴくりとも動かない。

 その中で唯一、両者の手が動いたのが96枚目の「あさ」決まりとなった「あさぼらけあ」。これも「あさ」まで聞いて、しっかりと空札として見送る。

 そして、97枚目、98枚目も読まれて、ともに空札。思わずギャラリーや配信越しで見ている人たちは心臓が持たないというレベルで空気が張り詰めているが、試合をしている両者は驚くほど思考が冷静だ。


(今ので98枚目か。ということは次の1枚で決まる……)


(これで98枚目、右下段を守って終わりですの……)


 両者、ここまで読まれた枚数をカウントする余裕があった。

 そして、天智天皇を祀る近江神宮にはこんなジンクスがある。運命戦で「あきのたの」の札が残ると、天智天皇が詠んだ「あきのたの」の札が出るというものである。

 今、その札を持っているのは目黒クイーン。基本的に運命戦は自陣を守るため、ジンクス通りなら持ち札的に目黒クイーンが有利だ。ギャラリーの中には「あの目黒クイーンでも縁起を担ぐのか」と思っている人もいるぐらいだ。

 試合を見る9割の人は目黒クイーンの勝利を確信し、光輝(みつき)に関してはクイーン相手に健闘したなと思っていた。


「ものやおもうとー、ひとのとうまで~……」


 余韻3秒、


『ねぇ、みーくん。こっち』


 わずかな刹那の時間、光輝を導く声が聞こえた。


(…………見えたっ!)


 空白1秒、楠本専任読手が口を開く。


「あ……」


 そう口に発したと同時に目黒クイーンの右手が自陣の右下段へと伸び、「あきの」の札が吹き飛んだ……


 スパァンッ!!


「入ったぁっ!!!!!」


 目黒クイーンの右手が「あきの」の札に触れるわずか数センチ前だった。

 浦安の間だけでなく、勧学館中に響いた気勢の声とともに光輝の右手から強烈で鋭い突きが「あきの」の札を貫くように飛ばした。

 札を先に飛ばしたのは目黒クイーンではなく光輝の方だった。楠本専任読手がその間にも淡々と読み上げるが、周囲は時間が止まったかのように最後の劇的な展開に唖然としていた。

 鋭い気勢の雄たけびとともに見事な取りも束の間、光輝はつとめて冷静に自陣の「こころあ」の札を目黒クイーンの陣へと送る。


「「ありがとうございました、ありがとうございました」」


 両者が相手に対し、読手の方にも向けて礼をするいつもの試合終了の挨拶。これにて、運命戦を制した光輝は目黒クイーンからの大金星と同時に連勝記録を止めた。まさに運命を切り拓く運命戦を制した。

 その瞬間を迎えたことをようやく浦安の間のギャラリーにも伝わり、


「おおおおおおおお!!」


 ドッとギャラリーが湧き、大きな拍手が鳴り響いた。

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