総文祭 閉会式
決勝戦と3位決定戦の終了後、速やかに閉会式と表彰式が行われる。まず、優勝の静岡代表、準優勝の京都代表、3位の埼玉代表がそれぞれ表彰される。4位と8強にはそれぞれ奨励賞が贈られる。大阪代表はチームの代表として、主将の光輝が表彰状を受け取る。
「これ、どうしたらいい?」
「さすがにお前が持ってたらええやろ」
光輝が仙崎に尋ねると、そのように言われたので、お言葉に甘えて、表彰状をそのまま持って帰ることにした。
表彰式が終わると、講評という名のお偉い人の長々としたありがたい挨拶の時間となる。優秀な成績を残したチームは主将の力が大きかった点をあげ、出場者や観客として見ていた関係者もその点に頷くしかなかったので、しっかり試合を見てる人の講評で、皆が耳を傾けていた。
そして、一連のプログラムが終わり、実行委員長の仲田が閉式のことばを読み上げ、3日間盛大に開かれた総文祭小倉百人一首かるた部門が幕を閉じたのだった。
閉会式が終わった後も出場者のほとんどは引き上げることなく、しばらくはその場に留まって、みんな、スマホを構えて記念撮影の時間に入った。
「四条、お前も来いって!」
「あ、あぁ……」
京都代表の杉本に言われて、光輝が駆け寄る。各府県の主将や主力が集まっている。
「せっかくやから、みんなで撮ろうや」
この関西弁でしゃべっているのは杉本である。
「当然、わたくしが真ん中ですわね!」
と、里華子が手を口に当てて、いつもの高飛車な態度で言い放つ。
「何を言っている。俺がセンターに決まっているだろう」
と、前髪をふあさ~っとかき分けて、顔をキラつかせて言ったのは相羽だ。どちらも目立ちたがり屋なので、お互い譲らない様子だ。
「はいはい、順番ね~」
それぞれのスマホを受け取り、撮影役を買って出た結姫がその話に割り込んできて、場をまとめる。
「最初は優勝した静岡の獅子崎さんを真ん中にしよっか~?」
そのような要領で撮影を進めていく。順番に真ん中から退こうとする里華子や相羽は不本意な顔をするが、その辺はご愛嬌みたいなノリでみんな、順番は守る。
「みーくん、ちゃんと真ん中、いこうよ」
「いや、俺は隅っこでいいよ……」
逆に目立つのが苦手な光輝は遠慮する。
「何言ってんねん、お前。この夏の主役やろ~? この大会でもめっちゃ目立ってたぞ~」
と、杉本に引っ張られて真ん中に置かれる光輝。
「そうですわ。四条君に勝ってこそ、わたくしの真の勝利でしたのに対戦できなくて、残念でしたわ」
「俺はあんまり対戦したくなかったけど……」
光輝は顔を引きつらせながら、ピースのポーズを取るが、結姫から「ちゃんと笑いなよ~」と表情にダメ出しをされ、光輝がそれに対し文句を垂れるやり取りに周りの空気が和む。
全員分の撮影が終わり、「ありがとうございました~」と結姫にお礼を言う選手たち。その輪が解けると、各々でツーショットやスリーショットを撮るところも出てくるが、
「あ、あの……花山さん!」
意を決したように里華子が結姫に声をかけ、それにきょとんとした様子で反応する結姫。
「わ、わたくし、綺麗で、華凛で、強くて美しい花山さんが好きですの!」
「え? 私のこと?」
「いえいえいえ! 花山さんじゃなくて……いや、そうじゃなくてですわ! え~っと、花山さんのかるたに憧れてますの! そのわたくしと一緒に写真、お願いしてもよろしいでしょうか!」
「あー、そういうこと。私なんかでよければ」
憧れの結姫を前にして、少し挙動不審気味でテンパってる里華子にも朗らかに対応し、スッと彼女の横に並ぶ。撮影は取り巻きたちが行い、里華子は緊張で顔をこわばらせながらも感無量といった表情をしている。
「ありがとうございます! わたくし、大学は関西を考えておりますの。もし、進学して関西に来たら、お相手していただいても……」
「もちろん。私でよければ」
結姫の快い返答に里華子はさらにパァッと顔を輝かせた。
そんな和気藹々とした記念撮影の時間が終わり、いよいよ、夢のような、3日間の祭りの時間は終わろうとしていた。




