主将の重荷から解放された光輝の役得?
準決勝の試合が始まるが、8強に残ったチームは奨励賞があるため、表彰式まで参加する。よって、決勝が終わるまでは自由時間となる。
もう、光輝は試合がないので、昼食にはちゃんと運営から支給された弁当をゆっくりと食べた。なお、それを見た仙崎などは「お前、ちゃんと飯食べるんやな」という驚いた反応を見せたのがハイライトだった。
そして、昼食後、レインボードームのコンコースのソファーに腰掛ける光輝と結姫。
「あらためて、主将、お疲れ様だったわね」
と、結姫が言うと、光輝は「ふぅ~」と重荷から解放されたように深いため息をついた。
「試合をしてる時は気にならなかったけど、みんなからターゲットにされるのはしんどかったよ……」
光輝はふあ~っと一つあくびを出した。試合から解放されて気が抜けたのか、急速に眠気が襲ってきた。
「みーくん、すっごい眠そうね」
「正直、この3日間、あまり寝れてないから……」
「表彰式まで、まだかかると思うし、今のうちに少し寝たら?」
「うーん…………そう、する…………」
と、光輝が言うと、スー、スー……と寝息を立てて、こっくりと船を漕ぎ始めた。
「うわ、寝るの早い! そんなに眠たかったのね~」
ただ、この睡眠不足は初日に課した結姫との朝練も影響していると思われる。寝息を立てているのを確認した結姫は光輝の方を向いて微笑む。
「…………おつかれ、みーくん。かっこよかったよ」
そう、囁いた。
すると、光輝がその囁きに反応するように船を漕ぐ方向を変え、結姫の肩に寄りかかる。
「ちょ、ちょっと、みーくん……!」
痩せ型とはいえ、上背のある光輝の上半身を結姫の華奢な肩では支えきることができず、重力の赴くままに光輝はぽすっと結姫の太ももの上に頭から覆いかぶさり、結果的に結姫は光輝に膝枕を施す状態となった。
(ひゃあ~~~~~! みーくん、起きてよう!)
結姫は頬を赤く染めて、ドギマギするも、ずっと寝不足で気持ちよく自分の膝の上で寝てる光輝を起こすわけにもいかない。
(もう、今だけなんだからね……!)
恥じらいながらも、そのままの体勢でいるしかなかった。だが、本音ではそんなに悪い気はなく、お互いに夢心地といった様子。
「え、結姫さん?」
しかし、しばらくすると、山本や渡辺など野次馬が近寄ってきて、結姫は「シー!」っと口元に人差し指を立てて、静かにというサインを出す。
「いや、これはちょっと……」
「いいものです」
と、カシャカシャとスマホで光輝に膝枕をする結姫のツーショット写真を撮影する。抗議したい結姫だが、光輝を起こしたくないため、その場から動けず、顔を真っ赤にして、ただ撮られるしかなかった。
「結姫さん、あとで送っておきますね~♪」
「ちょ、ちょっと~~~!」
結姫は抗議の声を出し、恥ずかしそうにするが、少しうれしくもあった。
お邪魔虫は退散しますとばかりのテンションではしゃぎながら去っていく女子組を見送りつつ、自分の太ももを枕にして寝る光輝に視線を移す。
「…………私もみーくんの寝顔、撮っちゃおうかな」
そう言って、結姫がすやすやと寝息を立てる光輝にスマホを向けた。シャッターボタンをタップしようとしたところで、光輝がパチッと目を開く。その瞬間、結姫は目を点にした。
「…………何やってんの?」
結姫の膝の上で目を覚ました光輝は自分の置かれた状況を把握してなかったのか、何事もなかったかのようにのっそりと体を起こす。
一方、結姫は目をぐるぐるさせながら、わなわなと震えていた。
「早く目を覚ましなさ~~~いっ!」
結姫が右手の中指を弾いて、光輝の額に渾身のデコピンをぶつけた。
「いってぇ~~~~~~~!!」
光輝の悲鳴はコンコース中に響き、その声は体育館スペースにも届いて、試合中の読みが止まったとかなんとか。




