↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
147/157

決勝トーナメント準々決勝 VS.東京代表⑩ 激戦決着! 運命戦の行方は……!?

 91枚目「ひ(さ)」は新堂が攻め取る。隣の柳田の自陣に残った札を見て、「わ(がそ)」の札を送った。かなりもつれてはいるものの東京代表はあと1勝をあげればいいので、新堂と柳田がそれぞれ自陣の札を守り切れば勝てるという「札クロス」の状況に持って行った。


(俺たち、東京代表はこんなとこで終われない! 頼むぞ、新堂、柳田……!)


 石崎がそう願う中、94枚目は「わ(がそ)」で柳田はきっちり守るが、新堂は攻め取ることができず、仙崎が懸命にキープ。仙崎が王手をかけた。ここで残り札の整理をすると、4番席は新堂が「あら(ざ)」と「みち」、仙崎が「せ」、5番席は柳田が「せ」と「みち」、森田が「あら(ざ)」をそれぞれ持っている。極限のプレッシャーがかかるこの状況下で専守すれば1勝は計算できる展開に持ち込んだ東京代表はさすがに団体戦強者なだけはある。

 そして、迎えた95枚目。


「みちのくの~~」


「やあーーーーーーっ!!」


 パシィーーーーンッ!!


「み(ち)」の札で思わず大きく吠えた森田の渾身の攻めが炸裂した。大阪代表としてはどちらかは攻め取らないといけない極限の状況下でその相手陣を強襲。C級の森田が2枚差でA級の柳田を下す大金星をあげ、ついに大阪代表は2勝2敗のタイに戻した。


「大阪、2勝っ!!」


「ナイスーーー!!」


 森田が絞り出すように力強く大きな声で勝利のかけ声を出すと、光輝(みつき)だけでなく、先ほどまで沈んでいた山本と高山も息を吹き返したように大声で返事をする。俄然、ムードがよくなってきた。

 東京代表はまさかの敗退も頭をよぎり、A級の新堂にも極限のプレッシャーが襲いかかる。一方の仙崎も大金星が目前に迫り、重圧と緊張感から一旦、立ち上がって気持ちを落ち着かせようとする。どうも、試合はここだけしか残っていないようで、観衆もこの運命戦にもつれこんだ一戦の行方を固唾を呑んで見る。

 そして、仙崎がもう一度、座り直すと、両隣の2人が自身に熱い視線を向けているのを感じた。


「仙崎さん! ファイトォッ!!」


「怯むなよ! 仙崎っ!!」


「おうっ!」


 やや涙声になりながら叫ぶ森田と檄を飛ばすように叫ぶ光輝の声を受けて、気合の声を一つ入れて、運命戦に臨む仙崎。


(まだ、『あらざ』は決まってない。相手は守りに行くにしてもお手つきが怖く守りにくいはずだ。けっこう、攻めやすいし、自陣も守りやすいが……)


(『あら(ざ)』って『あ』決まりになってたっけ……? というか、今、何枚目やろ? 光輝やったら、こういうとこもしっかりできるんやろうな……そうや。光輝はクイーン相手に運命戦でも相手陣を攻めたやないか! よし、俺もやったるで!)


 光輝は決まり字や現在の枚数もカウントできているのだが、仙崎はその辺が曖昧な状態で運命戦を迎えていた。かと言って、自陣に残った1字札の「せ」も無視できないが、仙崎は高校選手権のA級決勝で光輝がさやかの陣を抜いて運命戦を制した姿をイメージする。

 そして、96枚目。


「あら……」


 読手が詠んだ運命の49枚目の出札は新堂陣の「あら(ざ)」。新堂が出札をまず囲うが、仙崎も「あ」と聞いて、相手陣へ素早く手を伸ばす。囲い手を崩そうとするが、間一髪で新堂が力強く抑え、その隙間に仙崎の手が届くことはなかった。


「東京、3勝!」


「ナイス―!」


 東京代表の勝利を決めるかけ声が響くと、読手が「あらざ」の下の句である「今ひとたびの逢ふこともがな」を読み上げると、場内から大阪代表の大健闘を称えるかのように盛大な拍手が巻き起こった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。