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決勝トーナメント1回戦 vs.青森代表③~試合開始~

 俄然、4人が注目するのは観客席に近い5番席に座る光輝(みつき)の取りになる。光輝のかるたを見ようと、試合さながらのオーラを放つ。4人からしてみれば、普通に見ているだけなのだが……


(もう、いやだ。ここから離れたい…………)


 周りにいる大阪代表と青森代表の控え選手はここから離れたくなるような緊張感に心の中で泣き言を言うしかなかった。

 この日も試合開始前に報道用にデモンストレーションを行い、撮影時間が設けられた。ちなみに一般の人も撮影可なので、結姫(ゆき)と千里がおおはしゃぎかつ大急ぎで体育館スペースへと降りていき、光輝の払いの様子の写真や動画などを余すことなく撮影していた。

 光輝はもう慣れたのか、呆れているのか、何とも言えない顔をしながら、黙々と運営に言われた通りにデモンストレーションの取りをこなしていた。


 すでに着席しているが、試合のオーダーはこのようになった。

 ※左が大阪、右が青森

 

 1・七将 森田奈月(りんくう佐野ウイング高校②・C級二段)×三将 佐々木泰輔(金木②・B級三段)

 2・四将 渡辺亜美(金城大付属③・D級初段)×五将 蒔苗(まきなえ)恵(金木③・B級三段)

 3・副将 仙崎拓也(春日山高校③・B級三段)×主将 葛西千鶴(金木③・A級四段)

 4・三将 山本渚(桜花女子高校③・C級二段)×四将 小比類巻(こひるいまき)香織(八戸学園青洲③・B級三段)

 5・主将 四条光輝(翔国③・A級四段)×副将 工藤優菜(八戸学園青洲③・A級四段)

 

 席順の違いこそあるが、大阪代表は宮城戦と同じメンバー。青森代表も段位で勝るとはいえ、勢いに乗ってきてるであろう大阪代表を相手に主将から5将の選手をそろえて一戦必勝態勢だ。

 この試合の焦点は光輝をどこに置くか、青森代表は光輝に誰を当てるか。当然ながら、青森代表としては勝ちを計算できるA級選手を光輝に当てないようにしたかったが、副将の工藤四段が光輝に当たってしまった。おそらく、宮城と山口代表の試合では1番席に座っていたため、そこに来ると踏んで1番席以外にA級2人を配置したといったところだろう。

 とはいえ、他は段位で勝っているため、青森代表が優位には変わりない。強化練習や大会を通じて、成長を続けている1番~4番席に座る選手たちがどこまで食らいつけるか。

 試合は1枚目「かく」、2枚目「おく」、3枚目「ながか」と光輝の3連取でスタート。出だしの悪い光輝にしては反応も上々で快調な滑り出しを見せる。対する工藤は4枚目「ありま」を確実に攻めるも、11枚目「め」でお手つき。

 その後も光輝が連取、その合間に工藤が取りながらもお手つきを犯すという展開で進み、序盤から中盤にかけて、光輝が差をどんどん広げていく。

 48枚目「はるす」、49枚目「こぬ」、50枚目「よのなかは」、51枚目「たち」、52枚目「この」と光輝が自陣、敵陣に自在に手を伸ばして、5連取。快調に札を減らし続け、この時点で光輝5-20工藤と勝負の大勢が決まったような展開となる。

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