女子部屋での恋バナっぽい話②
「そういえば、結姫さんといえばさ。四条君との関係、どう思う? 本人たちは付き合ってないって言ってるけど……」
山本がそのように切り出した。
強化合宿前はもしかすると、二人は付き合ってるのでは? 友達以上の関係では? などと疑っていた人もいたが、強化合宿の二人のやり取りを見ていると、少なくともそういう関係には見えず、もはや姉と弟、身内同然のような間柄にも見えた。
「でもさー、結姫さん、お姉さんぶってるけど、四条君のこと、好きだと思うんだよね」
もちろん、異性としてという意味合いを込めて、渡辺が言った。
「なんか、距離感バグってるから、異性として見てないのかなって思うときもあるけど、四条君が一色さんと試合してたり、楽しくしゃべってる時とか、明らか妬いてるでしょ」
渡辺が続けて言った。
主に結姫から無防備にボディタッチしてきたり、宮城代表との試合後に頭を撫でたり、異性として見なしていない様子もある一方で、千里とのやり取りにモヤっとしてたり、光輝の一言に照れたり、慈愛に満ちたような瞳で見つめる姿はそうも見えない要素もある。これは女子メンの全会一致の意見だった。
「あーしもそう見えますけど、肝心の四条さんが態度がはっきりしないというか、見えないというか……」
「四条君はそもそも女子が苦手そうだもんね。私たちにも未だに苗字でさん付けで呼んでて、よそよそしいっていうか。でも、結姫さんだけにはさすがに気を許してる感じはあるけど」
渡辺をはじめ、山本など3年の女子組も光輝の女子に対するよそよそしい態度は少し気になっていたようである。
「四条さんがホモっていう線は? 男子校だし」
荻野が興味津々なトーンで全員に尋ねた。
「それは四条君が全力で否定してた」
山本が一度、光輝に男子校だとBL的なことはあるの? という問いかけをした際に「少なくとも俺や俺の周りは普通に恋愛対象は女子だよ」って答えたそうである。
「そっか……」
それを聞いた荻野はなぜか、がっかりした様子。
「で、森田ちゃんはどうするの? 仙崎に告る?」
「ええっ!?」
唐突に高山が森田に話を振って、森田は顔を真っ赤にして素っ頓狂な声を上げる。
「でも、でも……さっきの荻野さんの話を聞いてると、仙崎さんって、今、彼女さんとか作る気ないんじゃないっすか? 迷惑になるんで、こうやって近くで見てるだけでもいいです、あーし…………」
「うわー、純愛だねー、森田ちゃん」
「でも、この大会、終わったら、仙崎先輩、受験一本になるし、かるたはお休みになるから、さりげなく気持ち伝えるのはアリだと思うよ」
「さりげなくって難しすぎますよ、あーしには」
「じゃあ、終わってからストレートに言えばいいよ!」
みんなからこの恋路を応援されているのは伝わるのだが、森田にとってはキャパオーバーな出来事のため、目をぐるぐるさせている。このままでは今日の第二試合のような状態になりかねない。




