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総文祭2日目 予選リーグ第3試合 VS.山口代表⑧(試合後のやり取り)

 大阪代表と山口代表以外の試合もすべて終えて、この日、行われる3試合はすべて終了。予選リーグ敗退のチームにとっては今の試合で本大会、最後の試合になるからか、互いにメンバーを労ったり、泣きながら抱き合う選手の姿も散見される。


「光輝(みつき)、ナイス」


「サンキュ」


 仙崎が光輝のもとに駆け寄り、互いにグータッチをして勝利を労う。思えば、光輝だけでなく、仙崎も予選全勝なのでこちらも予選リーグ突破に大きく貢献したといえるだろう。


「四条くん、ナイス」


「なんで、お前までやるんだよ」


 今の仙崎とのやり取りを黙って見ることができなかった千里もしれっと光輝とハイタッチを交わす。文句を言いながらも、光輝もそれに付き合う。


「しかし、あのダブルなかったら、どうだったかなって思うけどなー」


 あのダブルとはおそらく、56枚目の「ふくからに」のところで『ふ』の音が『う』に聞こえて「うかりける」を払ってしまったことだろう。


「うーん、それがなくても終盤に一気に持っていかれたからなー。やっぱり、四条くん、上手く言えないけど、なんか強いよね」


「いや、さすがにそれは買い被りすぎじゃないかな……」


「いやいや、あのダブルだって、四条くんの感じとプレッシャーをピキーンって感じちゃってさ。それで早く反応しすぎたのよー」


 今の千里の「早く反応しすぎた」というワードを聞いて、仙崎が選考会で光輝と対決した時のことを思い出していた。

 それは読手の「失礼しました」の『し』に反応して、「しのぶれど」と「しらつゆに」の札を渡り手で払い飛ばした時のこと。ちょうど、光輝もあの時、「早く反応しすぎた」と口にしていたが、今の千里にその姿を重ねていた。


(光輝も一色もアレやな。1字とか半音とかで札を取ってないんや。1字の余韻や発する空気とかそのレベルで反応してるんやろうな…………こいつら、やっぱ、根本的に何かがちゃうで…………)


 あの時は光輝の言っていたことが理解できなかった仙崎だが、今ならその意味がうっすらとだがわかる。試合終盤からだが、二人の本気の取りを間近で見て、今の二人の会話のやり取りを見て、その次元の違いを思い知った。


(まー、ずっと花山さんと取ってる光輝からしてみれば、当たり前の世界なんかもしれへんな)


 なんて、仙崎が思っていると、


「ね、君もそう思うでしょ?」


「え? な、何がや……?」


 突然、千里に話を振られて、仙崎が慌てて答える。


「シンプルに四条くん、強いよねってこと」


「ま、まー、俺らからしてみれば、バケモンみたいなヤツやからなー」


 仙崎はパッと思いついたとりとめもない感想を彼女に告げる。


「ほらねー、チームメートからもそう思われてるじゃないの。控えめなのもいいけど、四条くんはもう少し自分の強さを自覚した方がいいと思うな」


「あ、それ。ゆき姉(ねえ)にも言われたなー」


 光輝が苦笑交じりに頭を搔きながら言う。


「でもなー、俺、そのゆき姉に勝ててないから、余計に自覚持てないんだよなー」


「え?」


 光輝がそう続けて言うと、千里と仙崎の二人が驚く素掘りを見せた。特に千里はすでに立っているのにガタッと椅子から立ち上がるような音が聞こえてくるような反応だった。

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