総文祭2日目 予選リーグ第2試合 VS.宮城代表③
これで2試合目のオーダーの席順が決まり、才木がオーダー表に名前を書き込んでいく。光輝は字が汚いので断った模様。もちろん、オーダー表の提出は光輝が行うのだが。
そして、今回も試合前に円陣を行い、その中心に光輝がいる。
「もし、俺があっちのA級に当たったら…………たぶん、周りを見る余裕がなくなると思う。だから、仙崎、山本さん、渡辺さん、その時はチームを頼む」
光輝がそう告げて、3人は黙ってコクンと頷く。
「チームを勝たせるなんて、偉そうなことは言えないけど…………でも、俺は負けない」
光輝が珍しく、シンプルな物言いで語気を強め、瞳には闘志と覚悟が宿っている。
「俺も含めて、厳しい試合になると思うけど、みんなでやれることをやろう。さぁ、いくぜ!」
光輝がそう言って音頭を締めると、メンバーから「オー!」という声が上がって円陣が解かれ、観客席下へと向かった。
「では、予選リーグEブロックの第二試合、大阪代表と宮城代表。呼ばれた選手は並んでください」
大会役員の人が受け取ったオーダー表を見て、点呼を始める。まずは1番席からだ。
「大阪1番・四条君、宮城1番・上村君」
(マジかぁ…………)
呼ばれた選手本人たちもだが、周りも心の中でそのような声が漏れた。本人たちは当たった場合も覚悟はしていたものの、いざ対峙すると足取りが重くなる。ただ、どちらのチームも最悪の事態は避けれたといったところか。
その後もオーダー表が読まれ、組み合わせは以下のようになった。
※左が大阪、右が宮城 数字は学年
1・主将 四条光輝(翔国③・A級四段)×主将 上村望(仙台共栄③・A級五段)
2・四将 渡辺亜美(金城大付属③・D級初段)×四将 阿部詩織(青葉白百合③・B級三段)
3・三将 山本渚(桜花女子③・C級二段)×副将 佐々木大喜(宮城野原学院③・A級四段)
4・副将 仙崎拓也(春日山③・B級三段)×三将 猪俣俊英(仙台共栄③・B級三段)
5・七将 森田奈月(りんくう佐野ウイング②・C級二段)×六将 岸大輔(仙台共栄②・B級三段)
組み合わせ全体としては1番席と4番席が同級対決となったが、それ以外は宮城代表の方が段位、級で上回る組み合わせとなった。
宮城代表としては悪くない組み合わせ、大阪代表は考えられる中では最悪というほどではないが、プレッシャーのかかる厳しい組み合わせとなった。仙崎が同級に当たったことは救いだが、他はすべて格上との試合になる。特に大阪チームは真ん中の3番席にA級の佐々木が座るのが予想外だった。ただでさえ、総合的に段位や級位で劣っているうえに本来はB級に当てたかったであろう山本に佐々木が当たってしまった。
そうなると、同級対決となった光輝と仙崎に次ぐ、5番席の森田の試合が重要になるため、また彼女に大きな重圧がかかることとなった。
(四条さんと上村さんが当たっちゃった……四条さんでも絶対に1勝できる相手じゃないのはあーしでもわかってるし、仙崎さんも同じB級との対決だから、次に勝敗の鍵を握るのは、あーし…………)
森田は早速、緊張と不安と重圧で胸がキュッとなる。
そんな時に森田の肩にポンっと手が置かれる。その叩かれた肩の方を向くと、その手の主は仙崎だった。
「いやー、お互いきつい相手当たったな。もともと、うちの方が不利な条件やから、お前が負けても誰も責めへんって」
「仙崎さん……」
「でも、勝ったら大金星や。この前の光輝みたいにひと騒がせさせてやろうや」
「は、はいっ!」
「よしっ、いい返事や!」
もう一発、仙崎がトンっと叩いてから、自分の席に座りこむ。森田もキュッと締め付けられた胸をキュンとさせながら、自分の席に座った。




